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ごく普通の幸せの中の孤独

今日は体調が悪いです。

なので、今日はいつもより簡単に、
うつになってから観た映画の感想を自分のために残しておきたいと思います。

『やさしい女』 ロベール・ブレッソン(1969)

原題 "Une femme douce" 

数年前にデジタルリマスターされたとき見逃して、それからずっと観たいと思っていました。

休職して映画すら刺激が強く感じ観られない状態だったのですが、
先日どうしても観たくなり、ネットに転がっている英語字幕のものを観ました。

心を奪われるのは、このファーストシークエンス

この映画は、主人公ドミニク・サンダ演じる女が死ぬ場面から始まります。

彼女がなぜ自分から命を落としたのか、
貧しさから抜け出してもなお、彼女の心に残り続けた孤独を
彼女の夫が振り返っていくという物語です。


ロベール・ブレッソンの演出

いい加減な英語字幕で観たので、物語はしっかり理解できていないと思います。
ですがブレッソンは本当に巧みな語り口で、彼女の謎めいた魅力・孤独を描いていました。

一つひとつのカットの画角も最高にキマってました。

彼は俳優を〈モノ〉として扱う、小津安二郎と似たようなストイックな演出で知られていますが、

それは本当に徹底していて、先ほどのファーストシークエンスを観ていてもわかるのですが、

なかなか人の〈顔〉が出てこないのです。
ブレッソン自身、表情は邪魔だとも言っています。

ところが、それ以外のところで視覚的な魅力をビシビシ伝えてきます。

その一つが、「モノの動き」で、
モデルの一挙手一投足が、丁寧で、繊細で、計算されているように見えるのです。
特徴的なのが、手の動きです。


ブレッソンの他の作品も含めて、手の動きだけを抽出した動画があったのでお借りしました。
これだけだとわかりづらいですが、何か一つの作品でも一度見ればわかるはずです。

物理的に何かが画面の中で「運動する」のが映画なら、
これぞ映画なのだな、といった感じです。
でも、作品自体の雰囲気はすごく静かで落ち着いているんです。
そこがまた、品格、というか・・・

ブレッソンを観るのは今回で3作目で、まだまだなので
これからも楽しみにして観ていきたいと思います。


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