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2020/1/26(うたの日366)

まばたきのたびに滅びる色があるひとり日暮れの壁にもたれて /かざなぎりん

(2017/1/6「滅」)

すごくかっこいい。具体的に何かひとつのことを描写しているのではなく詩として機能している歌だと思う。
「滅びる色」というフレーズがまず良く、この上の句でかっこいいだけではなくて多様なイメージを読み手にあたえることに成功している。暮れていく街の風景を見ているのか、ひとりで想い出にふけっているところなのか、映写機の比喩のようにも読める。主体が周囲と違う時間軸を生きているような雰囲気もあり、まばたきするたびに歴史がひとつずつ終わっていくような感じもある。
さらに、「滅びる色」と「日暮れ」がゆるやかにリンクしていてだんだんと周囲から色がなくなっていく感じ。また「滅びる」は「ひとり」とも繋がっていて人がいなくなっていく感じも与えていて、全体的に作り込んでいることが解る。
また、「滅びる」「色」「ある」「ひとり」「日暮れ」とら行の音が連続して口に出しても心地よい感じになっていて、細部もとても上手い。なんというか、云い過ぎておらずむしろ少し足りないバランス感覚があって、ドライな歌に仕上がっている。素直にこういう歌が作りたい。

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