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2020/7/7(うたの日366)

殺したいほど憎んでるはずなのに貴方は夢でカトレアでした/小路喜一
(2019/12/10「自由詠」)

怖い…上の句の凄みにびっくりしてしまうが、そこで「カトレア」が出てくるのに意外性にすごく惹きつけられてしまう。夢だからなんでも起こり得る設定だけれども、「カトレア」で出てきてもそれが「殺したいほど憎んでるはず」の「貴方」であると主体が解ってしまうところがすごい。夢とは深層心理を映しているとは云うけれど「殺したいほど憎んでるはずなのに」それはもしかして愛しているからだったのかもと思わせる。夢の中で主体はそのカトレアを飾ったり水を上げたりしているんだろうか。でも、眼が覚めたときの主体の気持ちを考えると、これはやっぱり悪夢なんだろうな。
また、知識がなかったのでカトレアがどんな花なのか検索してみたところなんだか笑った顔のようにも見えるし、ロールシャッハ検査の画像のような形状の花だった…ちなみに、花言葉は「魔力」「魅力」「優美な女性」。この歌にふさわしく、互換性のない花を上手く選んでいると感じた。

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