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2020/4/29(うたの日366)

性格は変わらないまま死んでゆき ずれた棺が気になっている/真島朱火

(2019/9/18「性」)


視点が面白い。なんとなく、死んだあとの描写で死後の自分からというのはあると思うのだけど、もっと第三者的な視点というか、俯瞰してみているものが多い気がするのだけど、これは遺体からの視点ですごいな、と思う。
人間の性格は生涯一貫してそんなに簡単に変わることがないだろう。だから死後もきっと…という歌意には、きっとそうだろうなと説得力がある。全体からじわじわした笑いと共感できる雰囲気があるのだけれど、そこにちょっと不穏な要素があるのがこの歌の魅力になっていると思う。…と、いうのも、ずれた棺が気になっているがその後しばらくしてこの主体は火葬されてしまうのだ。死後、というか焼かれる寸前まで自分の性格というのは変わらないのだろうか。もしかして、焼かれたあともそんな性格は変わらないのかもしれないと思うとかなり怖い。人間の意識と云うものはいつまであるのだろうか。頷ける歌意のなかで「変わらないまま」がいつまでなのかということも考えてしまう。

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