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2020/4/27(うたの日366)

またひとり名探偵を眠らせて積ん読タワーにはるかな吐息/桔梗

(2018/10/21「探」)


これは「名探偵」という単語がまず好物だったこともあるけれども、すごく解る。「名探偵」ってわりとかちっとした類の単語だと思うけれども「積ん読タワー」との組み合わせが化学反応のようになっていて、いいなと思う。積読にはきっと名探偵以外も眠っているはずなのだけど、名探偵ってちょっとヒーローみたいな雰囲気があるので、そこを取り上げると、絶対に攻略できそうにない魔窟感が漂ってきて(しかも積ん読のタワーを全クリできることってたぶんないと思うので)面白い。
結句の「はるかな吐息」は読み切れないのに本を買ってしまった主体と、その塔に閉じ込められたままの名探偵たち両方のようにも読める。誰しも体験したことに引き付けていながら、言葉の選び方が素敵で自分もそうしていることが逆にうれしい、みたいな歌になっている。ミステリ好きなので、家の塔を見るとよく思い出す歌。

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