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2020/7/23(うたの日366)

片仮名の「ロ」を四隅から押しつぶしイビツな星にしては放った/ねむけ
(2016/8/22「仮」)

面白い歌だと思う。なぜ主体はこんなことをしているんだろうか…文字をつぶして、それも「~にしては」ということはそれを連続して行っている。「片仮名のロ」と指定してあるけれど、明朝体でみると「口」や「□」も似たような風に見えてしまうけれど、片仮名のそれでなければきっと星にはならないんだろうと思われる。しかしながら、「ロを四隅から押しつぶし」たら確かにアスタリスクのようなかたちになる、発見の歌でもある。
文章でいうと、その「ロ」の部分だけが星になって見えているのかもしれない。いわば伏字のような状態だ。片仮名のロがすごく未来の検閲では通らなくて、主体が片っ端から伏字に直している景なのかもしれない。「ロ」のつく単語って無数にあるし、ロボット、ロジック、アンドロイド、ローマ帝国などに全部星にとって代わられていたらなんだか綺麗かもしれない。
また、神様的な視点から読んでも面白いと思う。夜空の星が足りなくなって片仮名の「ロ」でつくっているところだとか。個人的には、死んだら星になる説などを踏まえて、神さまは人間が「ロ」に見えていて星にするときにはそうやっている、という読みがいいかなと思った。片仮名の「ロ」は空っぽの箱のようにも見える。そういえば片仮名を使うのは日本人だけ、ということも踏まえてみるともっと面白い読みができそうな気がする。

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