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2020/7/17(うたの日366)

神になる訓練を受けている兄が毎日欠かさずいいねをくれる/ヨノハル
(2016/3/20「ニート」)

じわじわくる…好きです。題自体は詠み込まれていないのだけど「ニート」部屋の短歌だということを考えて読むと、まあ、きっと兄がきっとそれなのでしょうね…。働かないひとがなんで働かないのか、理由は多々あるのだろうけれど家族からすると常に爆弾をかかえているような気持ちになるんじゃないだろうか。…個人的な嗜好なのだけど、自分は働かないひとの「聖性」みたいなものにすごく惹かれる気持ちがある。たぶん、労働が汚い、卑しいものだとする考え方(本当はそうじゃないと思う気持ちもありながら)が、何処かにあるからだと思う。ニートもきっといろいろなタイプ(自分でじわじわくる云い方だけど)があるだろうけど、この兄にはなんだかそんなところがある。
働かないのは「神になる訓練を受けている」からとする帰結が可笑しく、「ニート」という呼称が一転して聖性を帯びる。また、頭からそれを信じている訳ではないはずの弟か妹の視点がやさしい。兄もおそらくそんな自分を恥じていて、その気持ちがいいねを押させているのだろう。直接ほめるのではなく。遠くから毎日灯るハートマークは、確かに神になる訓練の一環っぽさがある。


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