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2020/5/29(うたの日366)

ただひとり違う方向むいているヒマワリお前と話がしたい/とぅらんく

(2018/8/2「ヒマワリ」)


太陽を追いかけながら咲くヒマワリの性質を利用して詠んだ歌はたくさんあると思う。そういう意味で、上の句から「~ヒマワリ」まではありそうな感じなのだけれど、そこからが面白い。なんとなく、そのヒマワリに感情を重ねてしまうような表現が来るかと予想していると「お前と話がしたい」という発想で心地良く裏切られる。
「話がしたい」には色々な読み方ができて、ストーリーが膨らむ。主体自身がこのヒマワリのように、集団から少しははみ出している場合、もしくは、はみ出したいと思っているけれど、同じ方向を向いてしまうヒマワリたちのようなポジションにいる場合。…また「お前と」「話がしたい」という語調からは先生や父親のような雰囲気もある。何を考えているのか解らない子どもや生徒のことを考えているのかもしれない。どの読みであれ正解で、読み手の数だけ、その空白に沿わせてくれる歌だと思う。「話がしたい」というのは解り合いたい、という感情と結びついていて優しい気持ちにさせてくれる。

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