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2020/7/28(うたの日366)

てのひらを拳にかえた出来事をつつむのもまたてのひらだから/安達せきる
(2019/11/24「拳」)

すごくいいな、と思う。自分は、なんとなくこの世界は暴力の連鎖で成り立っているように思っているところがあって(屈折していてすみません…)暴力から暴力が生まれ、それがずっと続いていくような感覚がある。この歌はそういう考え方に「けれども…」という感じでやんわり否定するような調子なのがとても良かった。「てのひらを~」ではじまって「~てのひらだから」で着地する構成もいい。そこからその繰り返しがまた続いていくような雰囲気がある。つまり、暴力は暴力を生みそれがずっと続いていくわけではない。それが誰かのてのひらで止まることもある。しかし、それもずっと続いていくわけではない…という、営みをてのひらで上手く表せていると思った。なんというか、思っているほどそんなに良い世界ではないけれど、悪い世界でもない、という感じがする。言い切りの口調がやさしく、ともすると標語っぽくなる内容を上手に歌にしていると思う。

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