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2020/2/24(うたの日366)

東にはうつくしいきみが暮らしおり朝はいつでもそちらから来る/まちか
(2018/12/31「東」)


すごくきれいな短歌だと思う。東にあるものはなぜかまぶしいイメージがあり(東京という存在のせいかもしれないが)それを上手く利用している。
「朝はいつでも東から来て」「そちらにはうつくしいきみが暮らしている」のが事実なのだけれど、敢えてこの語順を逆にすることでこの星の法則を「きみ」が作っているようなフレーズになっている。
また「きみ」という自分と近しい人称で相手のことを呼んでいるけれど、主体ときみは離れて住んでいることが解る。かつ、具体的に言葉で触れてはいないが、きみが暮らしているのが東となるならば、主体が暮らしているのは必然的に以西ということになり、日が暮れてゆく場所からまぶしいものを見る視点になっている。そのためなんとなく、恋人というよりかは「きみ」を神格化して見ているような雰囲気がある。自分が生きていく理由としてきみの存在を拠り所にしていて、愛情を超えた思いを上手く描いていると思う。自分もこの歌のなかの法則を真似てつくってみたいが、なかなかこれにぴったりするようなものが思い浮かばない。

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