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2020/7/20(うたの日366)

南風はらんで白きブラウスは帆船としてゆく丸の内/水底
(2019/6/4「南」)

すごくかっこいい。かつめっちゃ上手い。主体の感情、またブラウス以外の描写をしていないにも関わらず、どんな感じなのかすっと景が立ち上がってくる。結句の「丸の内」がめちゃくちゃ良くてオフィス街の実際の地名を持ってくることによって、「帆船」とのギャップ、そしてそこを颯爽とあるく女性の姿が補完される感じがする。…高いビルが乱立するなかではどれが南風なのか、ぼんやりしていると解らないだろう。自らを「帆船」とすることで、オフィス街を海へと反転するつくりも巧みだと思う。
また細かいけれども「ブラウスが」ではなくて「ブラウスは」なのも良かった。「ブラウスが帆船として」だとストレートに説明になってしまうのを柔らかく、少し遠くに置く感じの主格にしてあって上手いと感じた。



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