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2020/5/26(うたの日366)


ようやっと五線譜の上並べられどうやらわたくしミとかいう音/レオナルドディカプリオ

(2018/12/30「やっと」)

すごく上手いと思う。この「わたくし」が人間なのかどうかというのも実ははっきりと描いているわけではなくて、雨だとかそういうものを比喩しているのかとも読める。が、とりあえずここではその主体が人間だとして読んでみた。自我が芽生えはじめてきた瞬間や、社会に出てからの「わたくし」を意識した瞬間を切り取っているのかと感じた。
「わたくし」というのは実はなりたくてなったわけじゃなく、立場や役割などがまず決まってかたちづくられたということ。また、自分が「ミ」だということは「ファ」や「ソ」の他者がいるわけで、比べられないと自分という存在が意識できない。五線譜は高い位置のものから低い位置のものまであり、ヒエラルキーっぽさがある。ただ、五線譜には高いところにある音が偉いとかすごいとかのカーストはなく、どの音が欠けても旋律を損なってしまう。そのあたりも、この歌の上手さで、それぞれが社会(世界)のなかの大切な音のひとつなのだと云っているのだと思う。存在意義などは、生きていくなかで全部あとからついてくるものだということも、感じられる。

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