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2020/8/10(うたの日366)

ごまだれも合いますねって本当に話すことなど無いひとに言う/他人が見た夢の話
(2019/12/10「自由詠」)

めっちゃそういうシーンありそう、というか自分もごまだれじゃなかったとしても似たような会話をもう何度もされていて、かつ自分も何度もしたような気がする。
言葉の選び方の上手い歌で「ごまだれ」と「本当に話すことなど無いひと」でと出すだけで、会社の忘年会や新年会の場の鍋を囲んだイメージを導いている。状況に対しての説明の省略が巧みだ。また、「ごまだれも合いますね」って主体の返し方…独白っぽく(相手との距離感が微妙なので返事がなくとも呟きに聞こえる感じの)、しかし同じ話題がさらに続いたとしても大丈夫なように、いちおう話を広げておく雰囲気がリアルすぎてじわじわきてしまう。…どうせアルコールが入ったら席も移動したり、何を喋っているのかうやむやになる、それまでの序盤の感じ。また、「本当に」がわりと強くて、興味がないのか、話す必要を感じていないのか、結果としては似たようなところに落ち着くとしても、そのあたりのニュアンスが少し分かれるのかもしれない。自分としては、自分に引き付けて、あんまり赤裸々にオフのこととか語っても引かれるしな…みたいに読んだ。場の微妙な一時をうまく切り取った歌だと思う。

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