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2020/7/19(うたの日366)

泣きながらボタンを押せば掃除機にまっすぐ帰ってゆくコンセント/からすまぁ
(2020/1/11「泣」)

掃除機のコードがボタンを押すと本体のなかに収まってゆくあの感じを詠んでいるのだと解る。たぶん、眼目は「泣きながら」と「コンセント」なのかなと思う。…と、いうのも、「泣きながらボタンを」押さなくともボタンさえ押せばどんなときであれコンセントは本体に帰ってゆく。しかし、主体は「泣きながら」押しているから「まっすぐ帰ってゆく」のだとしているのが面白い。どうして主体が泣いているのか解らないけど、敢えていつも通りに家事をすることで、かなしみを和らげようとしているようにも感じられる。
また、「まっすぐ帰ってゆく」のは長いコードではなくて「コンセント」としているのが上手いと思った。掃除機の電源につながる部分だから、そのかなしみの根元の部分が身体のなかに戻る様子とも重ねられるし、涙がさきの方から乾いていくようにも読み取れる。掃除機をかけるごとに泣いてはいられないだろうけれど、日常を送ることとかなしみは常にセットだということを上手に読んでいる歌だと思った。

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