![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/28638534/rectangle_large_type_2_095d626aeabd2191e6fa4097941a672f.jpg?width=1200)
2020/6/19(うたの日)
てのひらでガラス戸押せば押し返し街もわたしもまだ生きている/スコヲプ
(2017/7/31「手のひら」)
こういう歌がめっちゃ好きで…感情も入っているのだけど、ドライな感じの視点がいいなと思う。これはポジティブとしても読める歌だと思うのだけど、自分としてはポジティブでもネガティブでもない「事実」に近い感情として読んだ。
下の句の、特に「わたしは生きている」じゃなくて「街もわたしもまだ生きている」というのが特に良い。歌意の解釈はたくさんできそうなのだけど、生きている実感の薄さのことを云っているのかなと思った。自動ドアやセンサー、ワンクリックで買える商品や、手に取らなくても液晶越しに読める本、会わなくても姿を確認できるビデオ通話…今だったらリモートでなくなった通勤のことも含まれるかもしれない。便利になって、もうそれがなかった時代に戻れない。…それらのシステムが出てくる前には、直接自分が見に行ったり触れたりすることが大事だったはずなのにも関わらず。上の句のそんな生活のなかのかすかな手応えと、一枚の膜を隔てたような感覚を上手く表せていると思う。自分が詠んだことにしたいくらいの短歌。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?