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2020/9/11(うたの日366)

こんなにも星が綺麗な夜だから貸した二万が降ってこないか/岩倉曰
(2019/1/15「万」)

「こんなにも星が綺麗な夜」であるのに、その願いの即物的な感じ…というより、「二万」以上を願ってもいいはずなのに、「貸した二万」の分だけを願う主体にじわじわきてしまう。…たぶん、いいひとなんだと思うし、周囲からもいいひとと思われている主体である気がする。
「貸した二万が降ってこないか」と思ってしまうのは、主体が貸したひとに催促できないから、もしくは借りたひとの事情を必要以上に慮ってしまっているがためだろう。二万という金額がまた絶妙で、簡単に忘れるにしては難しいけれども、ずっと根に持っていてそのことのために関係も破綻させたくない金額だ。主体は今すぐに二万がないとどうにかなってしまうほど貧窮しているわけではなく、貸した二万が返って来ないことに、悩み過ぎている自分を恥じている気がした。貸した相手に謝ったりしてほしいわけでもなく、だから星に二万を願ってしまう。…でもなんとなく、この主体はもし二万が降ってきた場合も、自分を恥じたままである気がする。お金の短歌であるのに、不思議と卑賤な感じがしない歌でもある気がする。

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