見出し画像

2020/4/28(うたの日366)

これまでに失くした傘や手袋がきつと迎へてくれる天国/富樫由美子

(2016/11/22「天国」)


本当に恥ずかしい話だが、四半世紀以上生きてきて今までにもう100本以上傘を失くしてきた。近年が特に酷く、電車に乗って手すりにかけたり、雨が止んだあとの帰り道などはもう持っていることを覚えていない。そんなのだから、ビニール傘しかもっていないし、ビニール傘なのでまた何処かに忘れてきてしまう。そんなことを繰り返しているので、「これまでに失くした傘や手袋」が「迎へてくれる天国」だったらわたしは怖いのだけど、これはわたしの場合で、この主体はひとつの傘、ひと組の手袋をすごく大切にしていたからだろう。…すごく「正しさ」があり、まぶしい。もっと云うと、自分が「天国」に行けるかどうかも確信がないので、それを確信している正しさがうらやましくもある。…でも、ひとつの傘や手袋を大事にするひとが行ける天国は、そこに足し引きや思惑もなく正しさに説得力がある。失くしたひとや、ものに再会できて嬉しい場所が本来の天国の場所のはずなのだから。…「天国」部屋の解答の歌として読むと、より一層いいなと思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?