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2020/9/12(うたの日366)

そのドアがどこでもドアになるだらう。行つてきな、ひきこもるおとうと/西村曜
(2017/8/30「ドラえもんのひみつ道具」)

歌意もいいなあ、と思うが「ドラえもんのひみつ道具」部屋の短歌だということもすごいと思う。「どこでもドア」を出してどうにかするのではなくて、「そのドアがどこでもドアになる」…!こっちの意志力さえあれば、普通のドアもどこでもドアになるし、もっというと、ドアはあらゆるところにある。自分の足で歩きさえできれば、本当は何処にでも行けるのだということに勇気づけられる。
深読みになるのかもしれないけれど、弟が仮名にひらかれて「おとうと」なのが、もしかすると本当の弟ではなくて「弟分」みたいな風にも読める。それが、漫画としての『ドラえもん』の、ドラえもんとのび太の関係とも少しオーバーラップするところがあり、ぐっとくる。漫画のドラえもんは勿論こんな風には云わないし、そういう関係でもないけれど、駄目なのび太をなんとかしに来たという存在理由があるので、云いそうにも思えてしまって、よりかっこいい下の句になっていると思う。


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