見出し画像

2020/5/30(うたの日366)

尾崎なら軋むベッドを詩に変えた俺には楽天ポイントがある/芍薬

(2019/6/10「ROCK」)

すごくじわじわ来る…好きです。上の句と下の句が実はがっつり繋がっている訳ではない。にも関わらず、不思議な説得力と共感が生まれていて、それがすごく上手くいっている。この感覚を自分も試みたいのだけれども、バランス感覚が難しい…。
と、いうのも、わりと上の句でハードルを上げているような気がする。「詩」を使うとどうしてもイメージが綺麗になりがちなので、それよりもっと綺麗なもので上げたハードルを飛び越えなければいけないような気持ちになってしまうのに、ここで楽天ポイントが来るのか、と裏切られる。裏切られつつ、読者としては「尾崎」側ではなくて「楽天ポイント」側にあるので、なにも生み出さない現在を肯定して貰っているような感覚になる。もっというと楽天ポイントがあったからどうなのだ、ということのはずなのだけれど、尾崎豊の「詩」と対応してるのが「楽天ポイント」になるので、なぜだか万能感がある。…イメージ的には軋むパイプベッドで楽天アプリを立ち上げて、ポイントを確認している細かい男性が思い浮かぶ。絶対に尾崎豊じゃないはずなので、じわじわ来てしまいつつ、安心してしまう。この上の句と下の句の落差を真似してみたいのだけど、そう上手くいくものでないような気がする。また、細かいけれども、省略もうまく、読み手を信頼して尾崎豊の歌詞を詠み込んでいるのもいい。「ROCK」部屋であることを上手に利用している歌だと思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?