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2020/5/21(うたの日366)

葉の裏にてんとう虫が隠れてて生まれなかった姉だとおもう/ミルトン

(2017/4/20「隠」)


下の句にすごく驚かされる歌だと思う。お盆の時期は亡くなったひとのたましいが虫の姿を借りて戻ってくるため殺してはいけない、と云われたりするけれど、そういう類の意味での「てんとう虫」ではなさそうである。ただの「姉」ではなく「生まれなかった姉」というのが絶妙で、だから主体はその姉に会ったことがないはずだ。どうして、てんとう虫を「生まれなかった姉」だと直感したのか、その理由は明かされていないのだけれど、なんだか解らないけれども直感で真実に辿り着いてしまうことが生きているとままあって、これもきっとそんなシチュエーションなのだと思う。
葉の裏に隠れた虫に、知らず知らずのうちに自分を見守っていてくれているような雰囲気が出ていて、でも他の虫だとそこまで説得力がないような気もする。てんとう虫の幸運のジンクスを持ち出す以前に星のつく名前を持っているからかも知れない。…なんとなく、このてんとう虫はフタホシテントウなのかなとも思った。双子の姉になるはずだったけれども、生まれる前亡くなってしまったような。黒い背中にふたつの赤い星を背負っていると、確かにたましいを持ち運んでいるようにも感じられるので。

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