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2020/5/22(うたの日366)

極東の意味をきかれて果ての有る世界の果てにきみとゐるやう/抹茶金魚

(2019/4/26「東」)


めっちゃかっこいい。すごく好きな歌です。「極東」「果て」「世界」とかなり強い言葉を重ねてつくられているのだけれど、旧仮名で詠まれているためと、結句の「きみとゐるやう」という、言い切りじゃない感じが、歌全体をやわらかくしていると思う。「極東」の言葉のレトロ感とも合っている。
「果ての有る世界の果て」というフレーズが特に良く、「果てしない」世界ではなくて「果ての有る」世界は新しい。「極東」は欧米から見たアジアのことを指すけれども、その言葉を使うとき、額面通りの意味以上にマルコポーロが目指していた黄金の国のこととも重なって、自分たちが今いる国が、途端に別の顔を見せ始めるような雰囲気がある。また、マルコポーロのことを持ち出さなくても「極東」の響きには、日の出が真っ先にはじまるような響きがある。実際の世界は果てしないもので、世界の果てはわたしたちが勝手に線を引いているだけだとは知りつつも。…たとえそれが疑似的な「果て」だとしても今いる場所が実はすごく美しい場所で、しかも「きみ」がいるというのは、なんだかすごい奇跡のように感じてしまう。うつくしい歌だと思う。


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