見出し画像

2020/9/6(うたの日366)

ディスプレイだけが光を放ってて404に宇宙があった/夜夜中さりとて
(2020/6/20「ディス」)


「404」とはインターネットサイトをひらいたときのエラー、「404notfound」のことだと読んだ。歌のなかでその「404notfound」や「404エラー」ではなく「404」とすることで、マンションの号室のような雰囲気がにじみ出ている。そういえばインターネットサイトもドアも同じように「ひらく」と云うことも興味深い。
部屋の電気もつけずにスマホやパソコンを見ている状態なのかな、と読んだのだけど、「ディスプレイだけ」とされるとディスプレイの外、部屋の外側も含めて真っ暗で何もない状態のようにも思えてしまう。歌のなかに人間がいないように感じられる所為もあるからかもしれない。また、「404に宇宙があった」というフレーズも面白い。「にも」ではなく「に」。ということは、わたしたちの外側に広がっているあれは宇宙ではなく、インターネットの内側にあるものが「宇宙」ということなのか。…だが「404notfound」はそのURLをクリックしても既にサイトが見つからないことのエラーである。なので、その内側の「宇宙」も実はもう消えている。「あった」と過去形なのでかつてはあったのかもしれないが、なんとなく機能を失ったどこでもドアを見ているような気にもなる。この歌はたぶん色々な解釈ができるだろうけれど、「何処へも行けない」状態を詠んだ歌として読むと面白いように思った。何処にもいけないはずなのに、不思議に暗くはなく、それがこの歌がひとを惹きつける、魅力の理由なのかもしれない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?