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2020/9/4(うたの日366)

童貞を卒業しても校庭に犬が入ってきたらはしゃぐよ/小路喜一
(2020/6/27「童貞」)

じわじわくる…そしてきっとそうなんだろうという変な確信がもてる。「卒業」という語の持つ意味を上手く使っているように思う。「童貞」が指す意味の「卒業」と本来の「卒業」としての二重の意味が「校庭」を出すことによって立ち上がってくる感じ。…なんというか、男子とは半永久的にその「校庭」から出られない存在なのかなとも思う。この「校庭」は実際の中学校か高校の「校庭」のように読めながら、「男子」が「男性」になるまでそこに留まる架空の「校庭」のような雰囲気もある。…犬が入ってきただけではしゃげるのはそこにずっといるからで、童貞を卒業してもその「校庭」を出ていかない限りはずっと大人になれないような。
また「はしゃぐよ」という確信を込めたニュアンスの結句も面白い。「卒業」した主体が云っているのかなという気がするのだけど、誰に向けてなんだろうか。「卒業」「校庭」と出てきているし、男性の先生が生徒に過去の自分を重ねていたりする、という読み方もできるのかと思った。

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