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2020/9/22(うたの日366)

あしたへの自動扉を手であけて第二志望の制服が行く/山口正剛
(2019/4/8「開」)

もともとかっこいいフレーズ、また無機物を詠み込んだ歌が好きなのでこの上の句の、「あしたへの自動扉を手であけて」にめちゃめちゃぐっときてしまった…自分が詠んだことにしたいくらい好きです。自動扉が正常に作動していない状態って、店舗などが閉店している状態、もしくは事故などでの不具合でだろ思うのだけど、これは下の句よりきっと後者のような状態なのだろうと読んだ。主体はきっと第一志望に合格しての未来を思い描いていて、でも「まさかの」という感じで合格できなかった。…でも、まだあきらめていない感じが「手であけて」に出ている。そこで思い描いていたイメージが崩れたわけなのだから、主体はおそらく絶望もしただろうし一瞬で立ち直れた訳ではないだろう。でも、そのことを描かずに「自動扉を手であけて」とすることで、主体に何があったのかを上手く想像させている。自動扉は手で開けると手動開閉の扉よりずっと重いことも、効いていると感じた。

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