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2020/9/7(うたの日366)

このやうな落ち方をするエンゼルもゐるかもと竹トンボを拾ふ/計以
(2017/11/25「トンボ」)

すごく好きです。個人的に「このやうな」みたいな始まり方をする短歌ってかっこ良いけども、その分ハードルを自分自身で高く設定してしまって、着地が難しい…というイメージがあって。でもこの歌は着地も決まっているし、全体の言葉選びがめちゃくちゃ良い。良い、というか、ギャップを上手く駆使している気がする。「落ち方」というのがまずそれで、「飛び方」ではないのがいいなと思う。「天使」ではなく「エンゼル」という言葉選び、またその「エンゼル」の喩えとしての「竹トンボ」も効いている。ゆっくり落ちて来るのではなく、あるところまで飛んだら回転が止まって、唐突に落ちて来るあの感じ…「エンゼル」って生物でも無機物でもない不思議な感じがするし、その落ち方の喩えは見たこともないのに腑に落ちる。下の句の「ゐるかもと竹/トンボを拾ふ」と口に出すとちょっと引っかかる変則的なリズムが心地よく、いかにも「落ち方」だと思う。こういう短歌をつくりたい。

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