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2020/5/19(うたの日366)

なめたけを箸で逃した感触はとても言えない恋に似ていた/ササキアンヨ

(2019/1/11「自由詠」)


上の句と下の句の繋がりが非常に上手くいっていて、体験したことがないのになんだか解る感が強く出ている。「とても言えない恋」ってなんだろう、って感じなのだけど。云われると何故か納得できてしまう気がする。どうであれそれは一応「恋」であるはずなのだけど、そんなに素敵なものに喩えられていないののその一因だろう。なおかつ「逃した」なのがいい。感触がリアルなこともあるけれど、その恋がどうなったのか(どうなるのか)を暗示させている。また、細かいけれど「とても」も良くて、「とてもじゃないが」と「非常に」の両方の意味であり「恋」と「似ていた」にそれぞれ掛けることができている。
「とても言えない恋」に「なめたけ」を持ってきたところがこの歌のいちばんのファインプレーだけれど、細かいところにも気を配られた歌だと感じた。

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