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2020/9/1(うたの日366)

みなさんが目覚めるまでに千年がかかりましたがもう春ですか/真篠未成
(2015/11/21「全校生徒600名の前で一首」)

「みなさんが~」から結句までの構文は、先生のよく使うフレーズ(ネタ?)「みなさんが静かにするまでに5分かかりました」のパロディなのかな、と思う。が、結句の「もう春ですか」の疑問形のニュアンスが不思議さをさらに増している。先生も千年間ねむっていたんだろうか…。「もう春」ということは、目覚める前は冬だったようにも考えられる。
お題が「全校生徒600名の前で一首」なので、先生と生徒の関係で読み解いてしまいそうになるけれど、そう読まない方が面白いのかもしれない。例えば、千年前だとだいたい平安時代になるのかなと思うので、平安時代の幽霊たちが眼をさましたとか。もっと大きな視点…京都の街が主体になっているとか。また、目覚める前はずっと冬だったことに着目して考えると、それまで咲かなかった植物に対して詠んでいるのかな、とも思える。個人的にはもっと未来の話…SFっぽく人類がコールドスリープをしていた設定して読むのが好きかもしれない。このフレーズでいうと「千年」の年月が「五分」と同じようなニュアンスで聞こえて、不思議な感覚がある。

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