見出し画像

感覚と数値化

大学院で研究をしていた頃、どんな実験にもレシピがあった。

何を何マイクロリットル加えて、何分攪拌してどうのこうの。

同じレシピでやれば、世界中どこでも、過去でも未来でも、同じ結果になる(原理原則に沿っていれば)。

こういうことを再現性といい、科学ではとても重要視される。

一度良い結果が出ても、先生や先輩から、再現性とれたんか?と聴かれること山の如し。

とはいえ、レシピだけではないことを学んだ。

私はウエスタンプロッティングというタンパク質を分離する実験を、2年間で山の如くさせて頂いた。

同じレシピで実験をするが、先輩とはデータの美しさが異なった。

やはり、数をこなすほど美しくなっていった。

いわゆるコツとうやつだろうが、レシピが絶対だと思っていた私は、こんな理屈の科学であっても、そこに職人的なコツというものが存在することに驚いた。

家業にもどり、反対に感性100%の世界へ入り、反対に理屈が必要だと感じた。

特に、早く甘納豆の製造技術を覚えたい私(全く手伝ってこず甘納豆づくりに関して何の下地もなかった)は、この再現性をとることで、経験のなさを補おうと考えた。

そして、先代が仕事しているのをこっそり、データを取り続けた。温度、量、時間などなど。

そして3年経ち、おかげさまで私は先代の技を再現しつつある。

写真は、そのために考案したロット表。

よかったこと、よくなかったことの原因をさがし、改善するために使っている。

斗六屋の甘納豆は、まだまだこんなもんじゃない。

私の研究は、これからも続く。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?