能天気ながん患者①

去年乳がんの告知を受けて、右胸の一部とリンパ節を切除した。

恥ずかしい話だが、全く気付かなかった。
自分にがんは関係がないと思い込んでいたのがいけなかったのだが。

異変に気付いたのは、寝る前にフェレットが胸の上に飛び乗ってきたのを下ろそうとした時だった。

右胸の先端あたりに「何か」がある。

豆大福くらいの大きさの「何か」。

とりあえず次の日に病院にかかろうと思ったが、まだがんの可能性はあまり考えていなかった。
親族にがんにかかった人がいないと思い込んでいたから。

起き抜けに娘から「何か胸にある。触ってみて」と言われた母も想像もしていなかっただろう。

当初、持病でお世話になっている総合病院に行こうとしたが、たまたま乳腺外科が休診で違う病院へ。
検査をして、先生に「9割の可能性で悪性腫瘍と思う」と告げられ、1か月ほど正式な結果が出るまで時間がかかると聞いた。

呑気だな、そんなに結果出ないの?

会社の近くの病院でもあったため、歩いて会社に向かいながら思っていた。

会社の事務員は私一人だし、仮に入院や手術だったらどうなるのか?
パートで雇ってくれないかな。

一番呑気だったのは私自身だと思うが、せっかく正社員で自分のペースで働く事が出来ていたから仕事の事ばかり心配していた。

「いい話のネタにもなるけど」
現実逃避なのかどう面白おかしく話そうかと考えていた。


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