誹謗中傷対策として炎上時のリプライ可視化システムを作ってみた
社会問題としての炎上・誹謗中傷
最近テラスハウスという番組の出演者が亡くなるという痛ましい事件がありました.この番組自体はあまりよく知らないのですが,とにかくネット上での誹謗中傷がひどかったとのことです.
事件の詳細や炎上にどう対処すべきかという話については,こちらが良くまとまっているのではないかと思いますので,詳細は省きます.
木村花さんにはご冥福をお祈りする以外ないわけですが,このような痛ましい事件が起きている一方で,その実態というのはあまりよくわかっていません.私も炎上の分析をやっていたりもしますが,基本的には数百万人規模の炎上を対象としています.
というのも,個人が攻撃されている炎上というのはなかなか分析が難しいんですね.規模が小さいと他人からはどうしても見えにくいのです.だからといって,本人にとってそれはどうでもいいことかというとそんなことはないわけで,何とかしなければいけない対象の一つでもあります.
先ほど規模が小さいと書きましたが,多くの場合個人が攻撃されるような炎上ではせいぜい数百アカウントくらいなわけです.もちろん数百人から攻撃されたら本人にとっては大変な事態です.きっと社会全体から攻撃されているように思ってしまうことでしょう.
しかしながら,そもそも炎上に加担する人は1.5%程度しかいないという研究もあります.
つまり,残る98.5%の人は炎上に加担していないわけですから,社会全体が敵に回るかというと全くそんなことはないわけです.
もちろん,誹謗中傷にさらされている中で,統計データを思い起こして冷静になるのは難しいと思います.
そこで,せっかくデータがあるのだから,データに基づいてみてみればもしかすると誹謗中傷を行っている人が一部だったり,特に変わった人だったりすることが分かるのではないか?ということで,誹謗中傷を客観的に見ることができるようになるかもしれないWEBアプリを作ってみました.
リプライユーザ可視化システム
自分向けに送られた大量リプライ(メンション)の統計データを表示します.主に,
・基本統計データ
・リプライ数上位アカウント(100アカウント程度)の詳細情報
が分析可能です.
リプライの統計データ
まず,リプライ総数とリプライを送ってきたアカウント数,それらのアカウントの統計データ,時間情報などがでてきます.
たいていの炎上において,一部の人が大量のリプライを送ってきていることが可視化されます.また,リプライを送ってきている人がフォロワーより多いのか少ないのか,日本全国のついったらーの何パーセントがリプライ(メンション)を送っているかなどを分析可能です.日本のついったらー総数と比較したら,どんな炎上も大したことないですね.100%いったらむしろ自慢ができるレベル.
リプライ数分布をみると,一部の人がリプライの多くを送ってきていることが分かります.数値で見たい場合はGini係数を合わせてみるましょう.0に近ければ偏りがなく,1に近ければ偏りが大きいことを意味します.もっともリプライするユーザが少ないとGini係数は高くなってしまいますので,読み方には注意が必要.
リプライした人の特徴分布をみると,フォロワー0の人が妙にたくさんリプライしてきたりする状況が見えたりします.フォロワー0・・・通常の活動しているアカウントではなさそうですね.
リプライされた時間を見ると,偏りがあるかどうかが分かります.あんまり変な時間にリプライを大量にされていたりしたら,ちょっとボットっぽいかも.
リプライ上位アカウントの分析
また,リプライやー上位の分析もできます.
直近200件と過去までさかのぼる2000件の個人ツイートを分析して,自分へのリプライ数や,リプライ,リツイート,通常ツイートの非,ツイート時間,よくリプライするアカウント,良く使う言葉のワードクラウドなどがあります.
自分宛のツイートの一覧も見ることができます.誹謗中傷されているときに見ると心が折れるかもしれないので,最初は隠しておいてあります.表示ボタンをクリックするとみることができます.
これらの情報から「これは誹謗中傷するアカウントだ」と分かったら,ブロックをしましょう.ブロックボタンが設置してありますので,このブロックボタンをクリックすることで相手をブロックできます.
個人的には,炎上していないときに友達の分析結果とかみるとなかなか楽しい.自分の分析も見られるので,見てみると意外なことが分かります.
どうやら私はコロナの影響で昼の12時くらいにツイートする量が激減したようです.ってことは,今までは昼休みもなくずっとツイートし続けていたってことか.それもそれでどうなんだw ちょっと反省しようw
客観的に炎上を俯瞰する
というわけで,誹謗中傷や炎上が多く寄せられるときは,世界中から攻撃されている気がするかもしれませんが,統計データを見ればそんなことがないことが分かるはずです.
さらに,誹謗中傷をしてくる人がいたら怖くなるかもしれませんが,そのアカウントの情報をちゃんと調べて正体が分かれば,意外と怖くなんてないかもしれません.
もしかしたら,ボットかもしれないし,普段から色々な人に攻撃をしている誹謗中傷を趣味としている人かもしれない.
正当な批判なのか,一部の人の自己満足のための批判なのか.当事者には判断が難しいかもしれませんが,冷静な目で状態を理解するための一助になればいいと思います.
有名人へのリプライ分析
参考までに,有名人に向けてはどんなツイートが送られているのかを調べてみました.
総理大臣の安倍晋三氏のツイッターアカウントだとこちら.
一日平均1000件以上のリプライが来るようです.すげー・・・そして,リプライを送る人の中にフォロワー0の人の数が非常に多い.
一方,炎上で有名なお笑い芸人,ウーマンラッシュアワーの村本さんのアカウントの分析結果がこちら.
フォロワー0のユーザとかの数は安倍総理よりは少なそう.でも,上位のアカウントの分析結果を見ると,
こんな感じで,ほぼ村本氏にメッセージを送ること専用に作られたアカウントみたいなのが数多く見つかりました.サンプルに出しているアカウントなんてツイートの76.2%が村本氏へのリプライだし,その総数は1500を超えています.すごいなあ.
う~む.誹謗中傷以外に,いろいろなことが分かりそうな気がしてきた.
終わりに
今や,誹謗中傷に対して法的手段に打って出られる時代です.このWEBアプリの分析結果は保存しておくことができるので,誹謗中傷の証拠の一つとしても使えるかもしれません.
炎上・誹謗中傷を受けてしまったとき,あるいは受けている人を見かけたときは,こちらのアプリで客観的な統計データを確認して,いったい炎上や誹謗中傷が正当なものなのかを確認してみましょう.
個人的には,正当な誹謗中傷なんてないと思いますが.
というわけで,誹謗中傷対策に寄与できるようなアプリが作れないかなと思って作ってみたのですが,どちらかというと炎上分析を可視化するという目的に適したアプリになってしまった気がする.
ちなみに,意外と自分の統計データ分析も面白い.どうも5月に入ってからは深夜までツイッターをやっていることが分かりました.コロナ禍のせいか,どうやら夜更かし体質になっているようです.今日からちゃんと早く寝るようにしよう・・・
ちなみに,例のごとくβ版ですので,問題があったらごめんなさい.