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この際だからついでに考えようぜ!ライブハウスの環境問題

DokkoiseHouseのツアーが中止・延期になりました。

諸々の状況を見渡して、選んだ対応です。誰もわるくないししょうがない。

ライブハウスが他の施設に比べて感染しやすい環境であるかどうかは、データが集まってみないとわかりません。首都圏の通勤電車と比較してどうなのか。コンビニで感染する確率がどのくらいなのか。わからないことだらけの中で、みんながみんな、色々なことを判断しなきゃいけない。判断っていうのは頭の体力をすごく消耗するから、疲れちゃったひとたちが差別とかヘイトに走ってるんだろうな。思考停止でヘイトに走るんなら飯食って風呂入って寝なねって思う。

でもそれはそれとして、ここのところたくさん見かける「お客様のご健康を第一に考えて」っていう文面、個人的にはなんかね、モヤっとする。だってライブハウスって、そもそもあんまりお客様のご健康に配慮してきてなかったよね?

ライブハウスが差別されるのは風評被害だけど、感染症が流行ってなくても、健康に不安があるひととか、体力に自信のないときには行きづらい。椅子がなかったり、たばこ臭かったり、バリアフリーという観点からすると、たとえば飲食店にくらべてバリアになりうる要因が圧倒的に多い。

へんな例えだけどさ、パチンコ屋って好きなひと以外は別に行きたい場所ではないじゃない。うるさいしタバコ臭いし、到底居心地がいいとは言えない。ライブハウスも同じだと思われてると認識したほうがいいです。

まあライブハウスってひとくちに言っても、オールスタンディングでスモークもくもくで照明バリバリなとこから、結婚パーティーにも使うラグジュアリーなラウンジ的会場まで色々だ。だから環境として一律にぜんぶ過酷ってわけでもない。でも一般的に映画館や飲食店に比べて『行くと疲れる場所』であることは否めない。私も好きで行ってるわけだけど毎回疲れてます。

例えば「冷えは万病の元」っていうけど、多くのライブハウスは年がら年中冷房が効いてる。数年前の夏、クラブイベントに行ったら体感温度が10℃くらいで(今冬の平均気温より低くないか…?)結局耐えかねて最後までは観られなかった。

寒いならお酒飲んであったまればいいじゃない!と言われましても、こちとら肝臓が弱っちくてたくさん飲めない。そして悲しいかな、ライブハウスはソフトドリンクがあまり充実していないところが多い。烏龍茶とコーラくらい。昭和の宴会場かよ。

決して広くはないカウンターで、何種類もメニューを用意するのは大変なんだろうけど、願わくばホットドリンクは必ず置いてほしい。カフェインも体を冷やすので、紅茶・コーヒー以外でしかも甘くないやつ。ハーブティーが1種類でも2種類でもあればかなり助かる。それすら面倒ってことならいっそ白湯を売ってくれ。飲みたくもない烏龍茶に500円払うなら、コップ一杯の白湯のほうが断然いい。電気ケトルを置くスペースとコンセントを1か所都合できたらすぐ導入できるし。なんならちょっとこだわりのミネラルウォーターで「本日の白湯はこちら」なんて書いたりしてさ。だめかな?

ドリンクをたくさん頼んでライブハウスを応援しよう!ってムーブメントがあるけど、健康上の理由でそれができない人も大勢いるってことをまずは知ってほしい。アルコールも、カフェインも、糖分も、ひとによって「これ以上は飲みたくない」っていう限界があるんです。でもメニューのほうで工夫してもらえたら、それこそ白湯があれば3杯でも4杯でも飲みますけど?

そしてもうひとつ、これはすぐに解決するの難しいのかもしれないけど、分煙を徹底できないものかなあ。知り合いのバンドマンが癌で闘病しながらもイベントに出演してた時期に「命懸けだよ、まったくもう…」と切実な愚痴をもらしていました。フロアが禁煙でも、楽屋には灰皿があったり、通りすがりに副流煙を吸い込むこともある。

お客さんをコロナウイルスに罹患させるわけにはいかない!って、そりゃそうなんだけどさぁ。たばこを吸わないお客さんを副流煙で癌にさせてきたかもしれないのに、それはいいの?とも思う。

これ、すごい嫌味な言い方なのは自覚してる。けど、その矛盾について片目をつむってきたことが、普段ライブハウスに行かない人たちからの厳しい反応を招いたんじゃなかろうか。今の状況がライブハウスに来るひとの健康について考えるきっかけになったんなら、「みんなが安心して、健康を脅かされずに、音楽を楽しめる場所を作るには何ができるだろう?」というところまで突き詰めたらいいんじゃないかな。

ちなみに煙草に関していえば、私個人は非喫煙者だけど、たばこ文化はわりと好きなほうです。喫煙所の雰囲気とか一服してるひとのホッと気の抜けた表情が好きなのね。仕事帰りに同僚が喫煙所寄るのについてくのが日課だった頃、煙草ふかす同僚のとなりでルマンド咥えてたら、たまたま通りかかった先輩に見咎められて「よしはちゃんがグレた!!!」とビビらせてしまった。ていうか、たばこくらいでグレ判定とか失礼な。

まあでもそんな変わり者はそうそういないとして。(とはいえ私も体調わるいときはなるべく煙浴びたくないですからね)

喫煙スペースは確保しつつも吸いたくないひとが煙を浴びなくてすむ状態をつくってほしいな。なんとなーくエリアで分けるんじゃなく、ちゃんと壁で囲って空気清浄機も置いて。そういう設備を整えるにはもちろんお金かかるだろうけど、だからこそ「体を犠牲にしてでも音楽を愛するひと」だけじゃなく、誰でも快適に過ごせる環境にしていかないと。お客さんにたくさん来てもらってさ、稼ぎたいじゃん?

ライブイベントに馴染みのない人が何かのきっかけで足を運んだとしても、そこが「また来たい」と思える場所ではなかったら、味方って増えていかないよなぁと思うんです。長時間座れないこととか、空調とか、他のサービス業で当たり前に配慮されている部分で「環境がよくない」って先入観がすでについてしまってて、そこつつかれるとぐうの音も出ないので。友達をライブに誘うにも「体しんどいから~」って言われてしまうんですよ。これがカフェで小一時間お茶しよ?とかだとオッケーもらえたりするんです。そういうとこだぞ。なので改善できるとこから改善していってくれるとまじで助かります。。。

ライブハウス経営が大変なのは重々承知してる。でも今営業をしてるところはみんなアルコールやマスクを用意してるわけでしょ?必要だって思ったことについてはちゃんと対応してるじゃん。別に非常事態じゃなくても、お客さんが「配慮されている」って感じる工夫をどんどんやったほうがいいと思います。

色々書いたけど、居心地のいいライブハウスもたくさんある。いくつか紹介してみましょうか。

<下北沢mona records>

家感半端ねえ。この写真は2階のおんがく食堂の小上がり席の様子です。3階がライブスペースになってて、そっちでも出来たてほかほかのフードメニューがオーダーできます。唐揚げとかまじ美味いから。おんがく食堂はスイーツも色々あるし、コーヒーはネルドリップです。ライブはスタンディングの日もあれば、お客さんの入り具合によっては椅子が用意されることも。公演によっては出演者の意向を組んで禁煙対応にしてくれることも。ライブハウス初心者にはかなり優しい造りだと思う。


<渋谷7TH FLOOR>

渋谷スクランブル交差点から道玄坂を登っていき、歓楽街にちょいと入り込むとライブハウス乱立地区があります。そのうちのひとつで、おそらく最もラグジュアリーな場所。バルコニーが喫煙スペースになってて分煙もばっちり。渋谷の夜景を眺めながら一服するのもまた一興です。こちらもフードメニューあり。席に座ってゆったり観られるイベントが多いです。


<代官山 晴れたら空に豆まいて>

結婚パーティーから古武術ワークショップ、落語の寄席までなんでもござれのイベントスペース。椅子とテーブルがセットされてるのが通常モード。なんと全体を畳敷きにしてゴロゴロすることも可能な驚異のハイブリット会場。ステージ広めで音響も申し分なし。名前にちなみ豆関連のフードメニューが充実。黒糖をまぶしたそら豆が好きです。


どうにも設備の整ってる「カフェ×ライブハウス」系の場所に偏ってしまったけれど、キッチンがなくてもフードの出店者(おでんやらカレーやら)を呼んでくれる企画とか、クッション付きの丸椅子を並べてくれる場所もある。そういう工夫って今はどちらかというと「プラスアルファ」として捉えられてるみたいだけど、これからどんどん当たり前になっていったらいいな。


だってさ、やっぱ音楽って最高じゃん?

楽しめないのはもったいないからさ。できることやってこ。

※この記事を書くついでに東京都受動喫煙防止条例について調べたら、4月から事業所屋内の喫煙についてめっちゃ制限かかるじゃん…!非喫煙者としてはありがたいけど。各ライブハウス、対応がんばってください。