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社員20万人を超える老舗メーカーのエンジニアが少数精鋭の新規事業コンサルに弟子入りした記録07〜福岡出張編:TRIALの無人店舗で感じた未来の店舗の姿〜

インターン6日目! Filament CXO 佐藤さんと一緒に福岡のスーパーTRIAL(アイランドシティ店)に行ってきたのでその報告を書きたいと思います!

1. TRIALとは?

TRIALは福岡に本社を置く「ITで流通を変える」という理念を掲げる小売業の会社さんです。「リアル」と「AI」技術を融合した「Retail AI technology」を開発されており、実店舗への導入も行っています。パナソニックや株式会社Remmoと連携しながら日本版Amazon Goとも言える無人店舗に取り組まれています。その無人店舗の視察のために、自腹で福岡まで行ってきました!!

「スーパーセンタートライアルアイランドシティ店が次世代の小売を追求!スマートストアの姿とは」
https://orange-operation.jp/posrejihikaku/pos/14736.html

2. カメラ カメラ カメラ カメラ カメラ

店舗に入るといたるところにカメラ。取り付け位置は天井と商品棚。カメラの種類は大別すると大きく4つあるようでした。推測になってしまいますが、おそらく次のような役割分担になっているのかなとおもいます。
(※以下の分析は推測で書いています。事実確認したわけではないので、その点ご了承ください。)

①監視カメラ
昔からあるタイプの監視カメラで入り口など重要なポイントを監視
②監視カメラ360度見れるタイプ
台数が多く監視用途だけとは考えにくい。来店客の動線分析している可能性が高い(A地点からB地点まで移動などの広範囲の動線分析)
③Vieureka
来店客の属性や行動を分析(特定のエリアに何人いて、何をしているかを分析) 
 ■Vieurekaホームページ
 https://tech.panasonic.com/jp/bi/vieureka/
④スマホ
商品棚の欠品の確認。電源ケーブルしか刺さっていなかったのでおそらく SIMカードでデータを飛ばしているものとおもわれる
⑤ToFカメラ(おそらく)
お客様の動作分析(屈んで取る、一度手にとったものを手に戻すなど) 3次元の点群データを分析処理は重いので、まずはデータを取って検証している段階だと推測

天井には①②③④、棚に④⑤が取り付けられていました。印象的だったのは④スマホ。おそらくどこかで使わなくなったものをリユースしているのではないかとおもいます。専用のカメラを開発せず、既製品をうまくリユースすることでコストダウンしているのではないでしょうか。またスマホにはカバーが取り付けられて置かれていました。形状もカメラっぽくないので、カメラに見られている圧迫感がありませんでした。そのおかげで棚に設置されていても、そこまで気にならなかったので、その点も良いなとおもいました。

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左がVieureka、真ん中が監視カメラ、右が360度見れる監視カメラ。360度カメラは通常よりも台数も多かったのでおそらく来店客の動線分析にも使われていると推測。

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スマホ。白いカバーが付いていて形状もカメラっぽくないので圧迫感がない。向かい側の棚の商品の欠品検知をしていると推測。

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ToFカメラ(おそらく)。似た方式のMicrosoft Kinectは人のジェスチャー動作を検出できる。人の3次元の動作分析をするのは処理が重いので実験的な意味合いが強いと予測。

3. 買い物をしてみた

(1) プリペイドカードを作る
まずはレジに行って支払いに必要な専用のプリペイドカードを作ります。スマホのアプリでも支払いはできるようですが、今回はカードを作ることにしました。店員さんからカードとタブレット端末を渡され氏名、住所などを入力します。最初店員さんから簡単な説明がありましたが、タブレットの説明に従って自分自身で入力し、5分程度でカードを作ることができました。

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(2) カードに現金をチャージ
カードを作り終わったら、専用の端末で現金をカードにチャージします。バーコードリーダーで自分のカードをスキャンする必要があり、最初少し戸惑いましたが、チャージすることができました。今回はお試しで1000円チャージし実際に買い物をしてみました。

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(3)買い物カートを取る
モニターとバーコードリーダーが付いた専用の買い物カートにプリペイドカードをスキャン。カートが起動したら、いよいよ買い物がスタート!

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(4) 買いたいものを取ったらその場でバーコードを「ピッ!」
買いたい商品を見つけたら、その場でカートについたバーコードリーダーでバーコードをスキャンします。今まで商品を取ったらスキャンする習慣がないので、うっかりすると忘れます(汗)またバーコードを少し斜めにしてスキャンしないと、スキャンしてくれないので最初少し戸惑ってしまいました。一度スキャンしたもののキャンセルもできますが、端末を操作する必要があり「これやっぱり戻そう」となった時やや面倒くさかったです。

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(5) 買いたいものを全部取ったら無人レジへ
買いたいものを全部取ったらレジへ。夜間22時~5時の間は無人なようですが、私が行ったときは店員さんがいました。キョロキョロしていたので慣れていないと思われたのか、店員さんにカートをチェックされてから支払いゲートへ。端末のお会計ボタンを押すだけなので一瞬で会計が終わりました。

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(6) カートを元に戻す
買った商品を自分で袋に詰め、カートを元の位置に戻せば買い物終了。カートの保管スペースでカートの充電できるようになっていましたが、今はまだ電源ケーブルを繋いで充電する必要があるようです。お客さんが繋いでいなかったので店員さんが定期的に充電しているようです。またカートのタイプがいくつかあり、何度かアップデートしているようです。今後もアップデートが続くのかもしれません。また充電端子の先端はマグネットがついており、充電ケーブルを取り外しやすい工夫がされていました。

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4. まとめ

完成度はかなり高く、確かに夜間無人店舗の実証実験ができるレベルでした。最初の人は少し戸惑いますが、サービス全体のUIの完成度も高いので、一度教えてもらえればほとんどの人はできるのではないでしょうか。ただバーコードリーダーのスキャン忘れや万引対策などはまだ改善の余地があるとおもうので、今後の進化が楽しみです!

また、エンジニア目線で見ると既存のものをうまく活用して、コストダウンしているのが工夫されているなとおもいました。サービスデザインの師匠である浅野先生は「企業の使えなくなった負のアセットをどうやって使える正のアセットに転換させるかが大きな課題」とよくおしゃっていますが、このシステムはそれができていて凄いなと感じました!!

勝手な妄想ですが、スマホのマイクを使って音声データ収集できるので、それを活用した機能が増えるのではないでしょうか。スマホを使うとそういった展開も可能性が開けるので、本当に賢いなとおもいました。

5.追記:Filament CXO 佐藤さんの感想

佐藤さんの感想がとても勉強になったので、この記事にも書いておこうとおもいます。

『あれから思ったんですが、買ったデータだけじゃなく「買わなかった」データが取れるのがおもしろいなと。カートから戻したり手に取ったけど買わないとか。POSデータ以外の購買行動がわかる。これECでの滞留計測と一緒。まさにOMOですね。』

言われてみると確かにそうですね。来店客のデータを店舗側で握れば、お店からメーカーに「商品をこうして欲しい」というのが言えるので、お店側の力が強くなるかもしれないですね。

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