Youberのブラック化と、リアルタイムのコンテンツを求める私たち

少し前にYoutuberのヒカキンの1日に密着した動画が公開され、その生活がブラックすぎると話題になった。詳しくはネットニュースなどに書いてあるが、ヒカキンは密着された24時間の間に、なんと5本もの動画を撮影・編集しているという。職業としてYoutuberをしているというよりは、Youtuberという役割の間にコマ切れで生活をこなしているという感じだ。

ヒカキンの過酷生活にネット唖然 ほぼ不眠状態で1日5本動画制作「ハードすぎる」の声
https://news.nifty.com/article/economy/business/12117-6192/

ヒカキンのみならず、彼のようなトップクラスのYoutuberであれば、多かれ少なかれ似たような生活を送っているのかと思う。

先日、チャンネル登録数90万を超えるゲーム実況者が、自身のチャンネル上に「動画投稿をしばらくやすむ」旨の告知を出した。一般の間隔で、しばらく休むと聞くと少なくとも1か月、あるいは数か月に及ぶような印象を持つが、彼が実際に休んだ期間はたったの10日間である。この程度であれば、別に告知を出さなくても良いように思ってしまうが、Youtuberはそうはいかない。人気チャンネルであれば、動画の投稿は1日に1回以上がデフォルトだからだ。

1日に1回以上動画を撮影から編集まで行うというのは、これまで動画編集に携わっていた人たちから見たら、異常なスパンだと思う。ゲーム実況のはしりはニコニコ動画だが、初期のニコニコ動画における投稿頻度は早くて3日に1回、だいたい1週間に1回程度の投稿頻度だった。しかし、Youtube上でゲーム実況が脚光を浴びて、参入者が増えてレッドオーシャン化した結果、1日1回以上の動画投稿がデフォルトとなり視聴者も完全にそれに慣れてしまったのである。
今では、動画の投稿が1日でも遅れようものなら、コメント欄には「遅かった」「待ってた」等のコメントがつく。

さきほどの実況者は10日後に動画投稿を再開したが、休んでいた理由を説明する動画を投稿した。その動画の説明によると、4時間半の睡眠を10年ほど続けていたが不調を感じ、医者に行った結果、睡眠が少ないということで十分な睡眠を促されるとともに安定剤を処方されたという。

休んでいた10日間ほど、6時間睡眠を続けたら体調は回復したそうだが、復帰後はその睡眠時間は確保出来ないという。日中は普通に働いているため、いつもより1時間半も睡眠時間を伸ばしたら動画を撮影・編集する時間がなくなってしまう。とりあえず1時間ほど睡眠時間を伸ばして、5時間半の睡眠を保って無理をせずに続けていくというメッセージで締められていた。

一般的に見ると「たかが10日くらい」と思ってしまうが、実況者本人は10日も休んだことにより、視聴者が離れてしまうのではないかと気をもんでいたそうだ。

インターネットの普及に伴い、特にスマホの登場以降はコンテンツをリアルタイムで入手できるという感覚を誰もが持つようになった。その最たるものがTwitterだが、私たちは以前のコンテンツの更新頻度では我慢が出来なくなっている。著名なブロガーやインフルエンサーも1日に数本以上の記事や写真、つぶやきを365日休まずに投稿し続けている。
しかし、Youtuberは動画コンテンツという性質上、テキストや写真を扱うクリエイターよりも大きな労力がかかっている。撮影と編集を分離して、編集作業を外部委託出来れば稼働は減るのかもしれないが、1日に1回以上の更新である以上は外部リソースを使うことが難しい。

もうそろそろ。過労で倒れるYoutuberが出てもおかしくないような気がする。しかし、私たちのリアルタイムでコンテンツを得られるという感覚は不可逆だ。この隙間を埋めるための、何らかの仕組みづくりはないのだろうか。

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