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なつかし劇場セピア/マラマーゾフの兄弟

正月になると、裸族家は歯ブラシを新調するのです。

小生が小5の197X年も新しい歯ブラシで、気分一新。

毎年、とおちゃんが用意してくれるのはサンスターやライオンではなく、


『角海老』


というメーカー。

浅草あたりの老舗歯ブラシ屋で購入してくるのでございましょう、大ぶりの柄に「角海老」と漢字で金の刻印。

高級感のあるコノ歯ブラシを、親友のこうちゃんに自慢する小生。


「カッケ〜!裸族ちゃん、コレ、何処で売ってんの?」


ナイショでこうちゃんに余ってた歯ブラシをあげる、小生。

太っ腹でございます。


そして、十数年の歳月が流れます。

正月。大塚にある老舗ソープランドに姫初め突入するため、居酒屋でメートルを上げるこうちゃんと小生。


「おい裸族、そろそろ突入だぜ!」


小生の相手をしてくれたのは、ちょっぴり太めのお姉さんでしたが明るく、なかなかの気づかいで、優しく昇天させて頂きました。

帰り際に、お年賀と言う事で、細長い箱を渡してくれます。


「ボールペンなの?」


小生が問うと、


「このお店は、店名入りの歯ブラシがお年賀なの。だいぶ昔からコレみたいよ。質がいいから中には何本も欲しいってお客さんもいるのよ」


姫が箱を開け見せてくれたのは、


『角海老』


と金文字で彫られた、あの歯ブラシでございました。







m(_ _)mありがとうございました。





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