昔話
昔 あるところに
正義や 善や 理想 が
沢山 沢山 ある国がありました
人々は のんびりと 平和に
日々 そうとは 知らずに
正義や 善や 理想を
生み出していました
ある日
見たこともない 白い人々が
見たこともないような 満面の笑みをたたえて
現れました
彼らは その国の 一部の不満を持っているもの達を
言葉巧みに そそのかして 操って 武器を渡して
その者たちに 国を乗っ取らせることに 成功します
そして 善や 正義や 理想 を売り払えば
金になることを 吹き込みます。
彼らは からゆきさん などと言って
何も知らない 純粋で 綺麗な それを
海外に 沢山 沢山 売り飛ばしてしまいました
それは それは 高い値で売れたそうです
その金で 彼らは 白い人々から 兵器を買い続けました
そののち その兵器で 他国の
善や 正義や 理想を 侵略し始めました
すると 国内の 善や 正義や 理想が
光を放って 人々を照らし始めました
それを 恐れた 闇を好む 彼らは
思想犯 などと言って
その 善や 正義や 理想を
汚く 臭く 狭い 牢獄に
ぶち込んで
誇らしげに
侵略をつづけました
しかし 白い人々の 縄張りを 犯そうとしたため
これでもかと言う位 叩きのめされてしまいました
もう 誰もが 立ち上がることもできないのではないか
と思った位でした
しかし まだ あり難いことに
善や 正義や 理想は 残っていました
皆 心を改めて 一から出直しました
けれど 善や 正義や 理想を 売り飛ばした
連中や 組織は そのまま 処罰されずに
残されてしまいました
人々は 一心不乱に 働きます
みるみるうちに 国は 復興をとげました
そうすると 又 連中が 動き始めます
善や 正義や 理想を 売り飛ばして
自分達の 利益に していきます
でも その殆どが
彼らの地位を保証してもらうための 上納金として
白い人々に渡されてしまいました
人々は 忙しくて それどころではありません
奴らは 着実に 懐と仲間を増やしていきました
そして ついには
はるか昔のご先祖様から
ずっと ずっと 長い間
そうとは知らぬまま 無意識に ごく自然に
受け継いできた 正義や 善や 理想は
とうとう底をついてしまいました
それなしで まともな法律など作れるわけがありません
ましては 国の将来など描ける訳がありません
正義や 善や 理想がなくては
真っ当な人間も育つわけもなく
言っていることも やっていることも
行きあたりばったりの 支離滅裂なものとなり
往年の雄姿を知る者にとっては、最早それは見る影もありません
心ある人が指摘しても、最早、それに反応することさえないのです
なぜならば、それに響く 正義や 善や 理想 がないのですから
その後
その国はどこへ向かったのでしょうか
それも 必然なのだけれど
それすらも もう 彼らには 解らなかったのでしょう
いずれ そうなってから 又 こう言ったのでしょうか
『どうして、こんなになったんだ』
あたかも
何も知らない 関係のない
単なる被害者であるかのような顔をして
でも その顔には
以前のような希望の光は
もう 見ることはできませんでした
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