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010 シニアはプロジェクトで「知」を提供

1.関わり方を見失ったシニア

高齢化、省人化、テレワーク、Job型、再雇用 などミドル・シニアを取り巻く今、雇用環境は日本の年齢構成の変化とコロナの影響によるダブルパンチ状態と言えるでしょう。人数が多い大企業ほど、コンピテンスのはっきりしないミドル、シニア層の有効活用は人事部にとっても重要な課題。

こういったシニア層への厳しい批判は、「妖精さん」もしくは「働かないおじさん」という言葉を生み出し、ますますプレッシャーがかけられています。ちょっと視点を変えてみると、こういったシニア層は働かないのではなく、仕事や人との関わり方を見失ってしまっただけではないでしょうか?もっと言えば、会社側がこれまでの関わりを突然カットしてしまった結果なのではないかとも感じます。

伝統的なライン組織では、そのラインに直列結合していないと役割も評価も無くなってしまいます。これまで頑張ってきた人たちにとってあまりにも悲しい役職定年という一つの試練。役職定年制度など既に分かっていたことじゃないか、個々が自ら事前に準備しておけば良いとも言えますが、役割というのは失ってみてから実感するもので、中々事前準備が出来ないのも事実です。

ラインから外れたのであればこの際、ミッションもしくはタスクを完結するというシンプルな目標をおいて仕事をする、と脳内回路を転換してみるのも有効です。つまり自分が仕事にどのように関わり、どういうった機能を提供できるか?ここにポイントを置いて真剣に考えるという事です。

2.シニアこそプロジェクトで成果を発揮

昨今、シニア人材の活用という議論が盛んに行われていますが、これまでのライン型構造のままではその運用は難しいと思われます。若い部長、課長の下、急に20年前と同じ現場の仕事やフロントラインで一般社員として働くという事は面子やプライドが邪魔してもおかしくありません。

シニア層の取り扱いに困惑する一方、現役管理職は自分達「ミドルマネジメント層の負担が過重になっている」ことを組織課題として挙げており、それが理由で「メンバーの育成」や「業務改善」「目標達成のための業務推進」が出来ないという傾向に陥っているようです。これは会社組織としてとてもアンバランスな状態とも言えます。

そこで私からの解決案としてプロジェクト制を提案したいのです。

ライン組織はどうしても役職の縦列関係に縛られます。一方、プロジェクトは成果を求める機能集団という点でフラットでシンプルです。全員が個別の機能を持つわけです。関わり方を見失ったかもしれない「妖精さん」は改めてプロジェクトの中で機能を持って仕事に参加する。もうマネージャーとか役職というを意識をきっぱりとを捨てて、純粋に必要な機能として集中するのです。

プロジェクトの様な成果を求めた機能集団では「特定の役割や関係にどう調和して対応するか」という点はとてもシンプルです。ライン組織とは異なるプロジェクト単位での業務は関係性に調和するという事よりも、チームにおける仕事や作業を進めることが優先されます。つまり、ライン組織との関係性を絶たれたシニアにとっては今更上も下もなく、とても動きやすい環境だとも言えます。中途半端な上下関係や内向きな組織間関係、無意味な競争そういった生産性の低い環境から解き放たれるということは、ある意味、働くことの原点回帰とも言えます。機能に集中することによって重厚な組織と決別し、仕事に対する純粋な関わり方が見えてくるはずです。そう、もしかすると貴方は半沢直樹になれるかもしれません‼(笑)

3.プロジェクトで「知」の有効活用を

「年配者が入るとチームが機能しない」というのは本当でしょうか?最先端の技術開発やマーケティングの世界では一部事実なのかもしれませんが、それ以外であればかなり機能するはずです。

このままテレワークの形態が一般化した場合、集合型のチーム作業は薄れ、仕事は機能分解され、かつネットワーク化されていきますので、運動量は落ちた(笑)が、知見が豊富なシニアにとって実は有利だと言えます。一方、機能としての関係性構築を更に発展させると、その対象を社内人材に留める必要は無くなります。必要ならば外部人材を登用しても全く構わないということです。ウイズコロナの時代においてネットワーク型の仕事形態がさらに増えていくと予想される中、ますます社内・社外という垣根が低くなることは十分考えられます。これは社内中心の知識を軸にしてきたシニアにとっては脅威かもしれません。しかし裏を返せば、自分の知識が他の業界で価値となる可能性もあります。

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これまで培った知や見聞をしっかりと、機能として提供し成果に繋げていく。これらはミドル・シニアにとって重要な役割であると共に、現在の日本にとって大きな課題である「知の有効活用」や「イノベーション」に直結します。社内・社外に関係なく活躍の場を「成果を追求する機能集団= Project」として定義づけることで、シニアを含めた全ての世代で知を有効活用する「成果型」への移行が進むのではないかと考えます。




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