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ミニマリストが衝動買いしたもの。木彫りのキーウィー


ここ最近、めったなことでは新しいものを購入しなかった。

引っ越し直後で色々と物入りではあったのだけど、じっくり考えてリサーチした上で店舗で実物を確認し、しっくり来なかったり気が向かなければとりあえず買わない…ということを繰り返す。

すぐに必要だと思っていたコンロ(またはクッキングヒーター)も、新しい夏服も、大きい水筒も、ハンガーも、お風呂場の吊るし収納も、まだ買っていない。


そんな私が、つい先日、あるものを衝動買いした。

木彫りのキーウィーである。


通りがかった場所で開催されていた蚤の市の、アフリカ雑貨の売り場で出会った。

キーウィーは大中小とサイズ展開があり、色もホワイト、グリーンなどがあった。

でもこの手のひらにちょうどのっかる小サイズの、茶色のキーウィーが一番だった。
(南アフリカ人のお兄さん曰く、着色していない木そのものの色とのこと)


一目見た瞬間にビビビッと電気が走る感覚があった。「目が合った」のだ。


そもそも、アンティークの商品に興味が湧いてきた時期だったので、蚤の市そのものが楽しかった。

古いボタンやら、錆びた鍵やら、見たこともないデザインの食器やら、籠やら椅子やらシャンデリアやら、さまざまなものがジャンルもごっちゃごちゃに並べられていて、その狭い通路を行き来する人たちがみんなものすごく楽しそうなのだ。

何に使うかよくわからないものも多いのに、こんなにたくさんの人が楽しそうに買い物をしているなんて素晴らしいなとしみじみ思った。

特に何を買おうとも考えず、汁椀か丼でいいものがあればいいな〜なんて思いながらふらふら歩いていたら、キーウィーと出会ったのだ。


キーウィーに値札はついていなかった。
隣の、ほぼ同じ大きさの木彫り人形の値段は3,000円弱。

とすると2〜3,000円か…と考えるも、もはや値段なんて関係なくなっている自分の感情に気がついた。


それでも、一旦冷静になろうと思い、まだ見ていなかったお店も含めてぐるっと蚤の市を一周した。

その間、物質で人は幸せにはなれない…などと心の中で呟いてみるものの、どうしてもキーウィーが頭から離れない。

結局、他に出会った素敵なものたち(枯れた色味の向日葵柄の焼き皿、ハートの形のローズクォーツ、大きなフランス製ボタン、革製の魚のキーホルダー)のどれよりもキーウィーに心惹かれていることがわかったので、アフリカ雑貨のコーナーに戻ってきた。


そこに、茶色のキーウィーはいなかった。

ホワイト、グリーンのキーウィーはいるのに、あの手のひらサイズの茶色い子がいない。


ショックだった。

もう誰かにもらわれて行っちゃったのか…


いつものように、買わなくて済んだのだからかえってよかったとは思えなかった。

他の子じゃダメだ、あの茶色のキーウィーじゃなきゃ、と思いながら落ち込んでいると、奥からアフリカ人のお兄さんが出てきた。

片手に茶色いキーウィーを持って。


いたーーーーーーーーーーーー!と興奮していると、お兄さんは茶色のキーウィーを商品棚に戻して値札をつけ始めた。

お値段、¥3,100。


もう迷う余地はなかった。

値札がついた直後、そのキーウィーを手に取り、予想以上にずっしりとした重みを感じながら「ください!」とお兄さんに告げた。

お兄さんは新聞に包んでビニール袋にキーウィーを入れてくれたけど、手にキーウィーを抱えて一緒に景色を見ながら帰った。



この妙にリアルなシルエット。最高。

ハンドメイドらしく、キズやムラがたくさんあるのも愛おしい。


おしりのまるみも素晴らしい。
どの角度から見ても可愛くて、いつまででも眺めていられる。


お迎えしたその日は、仕事机兼ダイニングテーブルでずっと仕事を見守ってもらっていた。

他人から見ればまちがいなく無駄な買い物。
でも、自分は少なくともこの先数年はこの子を手放そうとは思わないだろう、という直感があった。


生活必需品を買うよりも、ずっとずっと切実に感じた「欲しい」という感覚。

しんどい日も、気力が湧かない日も、寂しい日も、いいことがあった日も、このキーウィーにそばにいてもらおう、と思った。


今の私にとっては、ハンガーやコンロよりも、この木彫りのキーウィーが必要なのだった。



キーウィーの定位置は決まっていないけれど、現在はTV台にちょこんと座っていただいている。

そのうちキーウィー専用のスペースを確保するために、新居の片付けに励もうと決意を新たにするのであった。

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