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森元総理の女性蔑視発言に思うこと

3日の日本オリンピック委員会(JOC)
評議員会で東京オリンピック・パラリンピック
組織委員会の森喜朗会長が「女性がたくさん
入っている理事会は時間がかかる」と発言し
大炎上中となっている件。

もちろん、隣の爺さんが縁側で世間話をして
いるわけではないのだから、発言の重みを
意識できない時点でアウトである。

彼は「老害」「時代錯誤」と言われているが
私は、この件でも、人が時代の変化に合わせて
柔軟に対応することの難しさを感じている。

森さんは、老人になったから、あの発言を
した訳ではなく「男性とは」「女性とは」
という昭和の絶対的価値観の中で、思考の
原点を得て、構築している世代。
考え方としては、若い時から1ミリもぶれて
いないのだと思う。

しかし、90歳前後の男性の大多数は森さん
の主張にある程度の共感を持つのではない
だろうか。

それほど植え付けられてきた価値観は強固
だということを指す。

少し前の話だ。
美輪明宏さんのコンサートがあったので
80代のご夫婦をお誘いしたことがあった。

奥様はたいそう乗り気で「楽しみだわ!」
とおっしゃったが、夫君はたいそう気分を
害されて「あんな男女のような腐ったヤツ
のことを口にするな!」とお怒りだった。

美輪明宏さんのコンサートはもちろん
素晴らしく、プロという人の才能、鍛錬、
日々の努力、信念を含め、すごいものが
あったが、結局、その奥様だけが堪能した。

その時、奥様は私に
「夫の視野思考はすごく狭い上に四角四面
だから、一緒にいても全く楽しくないの」
とおっしゃっていたのが印象的だった。

それぞれの価値観だから、何をどう思おうと
その人の自由だが、私の個人的感想では
お年寄りは女性の方が断然、生き生きして
いるな~である。

要は、男性の多くは価値観のアップデートを
することが不得手で、過去の成功体験、
常識と思うこと、自分の忍耐などの「過去」
の自分で構成されてしまい、その「繭」から
1歩も出ないように思うのだ。

しかし、これは他人事ではない。
先日、あるメディアから「18歳の子育て」
というテーマで取材を受けた。

「進路について、親はどう子どもに教えたら
いいか」「何を言うべきか」という質問だ。

「つまり、安定安心の人生、成功となる
人生を歩ませるために、我が子に何を
どう進言し、レールを敷くのがいいか?」
と質問されたようなものだ。

我が子に対し、目一杯レールを敷こうとし
彼らの言葉を聞こうともしなかったのが私だ。
だからこそ、こう答えた。

「一番いいのは、自分は死んだと思って
何も言わず、何もせずがいい」と。

18歳は法律で成人とされる年齢。
成人に親は必要なく、既に自分で考えられる
能力が誰しもに備わっている。
というのが、私の答えだ。

このめまぐるしいスピードで変わっている
社会で、私たち親の価値観や成功体験は
化石に近い。もし、これを押し付けるなら

森さんが公の席上で、正しいとする時代錯誤
と言える自説をぶちまけるのと、どう違う
だろうか。

子育てに関して言うならば
6歳まで手をかけ、12歳まで目をかけ
18歳まで心をかけで終了でいいと思う。

しかし、己が「絶対だ!」「常識だ!」と
思っている価値観をアップデートするのは
難しい。
相当、頭をアップデートしている人ですら
今、若者が生きようとしている時代の
価値観に柔軟であり続けるのは難しい。

何故ならば、育ってきた時代が違うので
そこで蓄積され形成された「我が身」から
離れられないのが人間だから。

であるのであれば、自分より若い人が
何かをしようとしていたり、その考え方を
教えてくれたりした場合は逆に
アップデートのチャンス。

あの頃の価値観も、今の価値観も柔軟に
受け入れ、自分というものを進化させた
方が人生は楽しいような気がしている。

森さんの発言をむしろ他山の石にしたいと
思う今日である。

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