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ミニアルバムの感想を通して、「田村ゆかりの歌」について語らせてほしい

特に今日はデザインの話ではなく、田村ゆかりさん(以後、ゆかりさん)の話をさせてください。

本当は今開催中のライブの感想を書こうとも思ったのですが、ネタバレするのもな…と思ったので、現在発売中のミニアルバム「Strawberry candle」の感想を書きつつ、自分が思うゆかりソングの魅力について書きます。

『声優・田村ゆかり』という言葉は、アニメや声優好きの人なら名前くらいは聞いたことある。という方も多いと思うんです。

ただ、じゃあどんな人?と聞くと、「17歳の人でしょ」とか「世界一かわいいよの人でしょ」…ぐらいの、ファンの方以外は皆さん大体そんな感じですよね?

しかし、声優として、アーティストとしてのゆかりさんの魅力はそんなものじゃないんです。語らせてください。
ただ、かなり自分の主観強めです、ゆかりファンの総意でも、もちろん本人や作詞作曲家様の言葉でもございません。解釈違い絶対許さないマンの方はこの辺でブラウザをそっ閉じしてください。

ミニアルバム「Strawberry candle」とは

田村ゆかりさんが、2019年5月22日にリリースした8曲入りのミニアルバムです。

はい、可愛い。


1.聴こえないように♡

1曲目の『聴こえないように♡』は、あの清竜人さんが作詞作曲を担当された楽曲です。
アップテンポ気味のメルヘンな曲で、個人的なイメージは海外の移動遊園地にあるような小さなメリーゴーランドのイメージがあります。
(筆者は音楽知識0なので、雰囲気だけでしか語れませんので、細かい知識の間違いはご容赦くださいmm)

清竜人さんの書くゆかり楽曲は、歌詞の中に♡が散りばめられているのが特徴(?)で、他にも『14秒後にKISSして』『ゆかりはゆかり♡』などがあるのですが、「14秒後にKISSして」の時に衝撃を受けたファンも多いです。

というのは、清竜人さんの曲ってアップテンポで明るい曲なのにスルメ曲なんです。

どれも一見すると普通に可愛らしい曲です。だから可愛く歌う…と一口に言っても、ノリノリで歌う、甘えて歌う、語る、囁く、呟く、呼びかける…など、そこにはコロコロと変わる様々な心の動きが詰め込まれています。それも1フレーズごとに。

この手の曲って、ともすれば陳腐なイメージになりやすいと思うんです。
可愛すぎる曲というのは、本当に歌唱力がないと曲に本人が負けてしまうことが多く感じます。
分かりやすい例でいうと、いわゆる「代表曲といえば〜」と語られやすい『fancy baby doll』『チェルシーガール』なども、可愛くアッパーな曲です。しかし自分はこれら曲をちゃんと歌えている人を見たことがありませんし、他の方のそういう楽曲を聴いても……と思ってしまう事が多いです。(いろんな配信者の方などには失礼ですが)

この曲でいうとまず歌詞の1言目が「へぇ♡そうやってさ♡」ですよ?
これをそのまま歌うと、おそらくすごくラブリーなだけの曲になると思います。それはそれでいいかもしれないんですが、ゆかりさんが歌うとそこに「そんなことしていいの?」「どういたずらしてやろう?」「かわいいなおい」といった様々な感情が込められた一言になります。(聴いてください)

この可愛らしい曲を圧倒的歌唱力で歌い上げるのがゆかりんの魅力の一つかなと思います。

2.Darling Darling

王国民の「All Right!」から始まるアッパーソング。

ゆかりさん御本人がインタビューでも言われているように、この曲はライブなどでファンとの掛け合いが楽しい、いわゆるあまり田村ゆかりに詳しくない人から「田村ゆかりといったらこういう曲だよね」と、イメージされやすい楽曲かなと思います。
清竜人さんに続き、この曲はRAM RIDERさんが提供されています。

この明るくアッパーな曲なんですが、歌詞を読み込んで見ると実はちょっと切ない曲…?と感じました。

ゆかりソングによく登場する「少し歩くのが早くて先にいる彼」(通称俺君)。これは物理的な距離/心の距離の両方があると思うんですが、そんな彼に対してあと一言が言えない。
言いたいような、言うのが怖いような、でも決して後ろ向きな気持ちではない…という心情の歌詞だと感じました。

メチャメチャノリが良く、実際ライブでもテンションが上りまくる曲なのですが、歌詞には「苦しい」や「今日もまた ただ追いかけた」「呼び止めた 心の中で」など決してハッピーなだけじゃない歌詞が並びます、並ぶんです。

そこからですよ、

コーラスの「All Right!」、つまり大丈夫だよ!というフレーズが何度も何度も流れます。これですよ。つまりこの曲は葛藤しながらも明るい未来を想像する女の子の片思いを応援する、自分で自分を後押しする曲なんですよね。
『アイマイボーダー』『チアガール in my heart』などの女の子に近いかもしれません。

そして、そんな歌詞に乗せてバックに流れる管楽器のパーン!という音がより曲を盛り上げます。

実はゆかりソングの中には管楽器が登場する曲も多くあります。
代表的なものだと『好き…でもリベンジ』『きらら時間旅行』『星降る夢で逢いましょう』あたりですね。

自分は、ゆかりさんの声はピアノのようだと思っています。
一つ一つの音の粒がしっかりしているのですが、それは単に綺麗な「音」なだけではなく、それぞれが繋がりを持っています。
そこに感情を込められて紡がれる声は、アーティストであり、声優であるゆかりさんならではのものだと思います。

ピアノみたいに跳ねたり、金管みたいに柔らかさと硬質さを兼ね備えていたりと、音だけではなく空気感を伝えるような歌い方?というのでしょうか。

そんなこの曲の個人的なハイライトは、先程も少し触れましたがAll Right!のあたり、特に2番のサビ終わり(Stay with youのあたり)の歌詞と金管が交互に流れるところです。
ライブでも一番盛り上がるところなので、是非聴いてみてください。

3.セルフィッシュ

先程あげたインタビュー中で御本人もおっしゃっていましたが、
おそらく田村ゆかりソングをある程度知ってる人が思う「田村ゆかりっぽい曲」だと思います。笑

最初にミニアルバムの収録曲が発表された時にこのタイトルを見て、
「なんだかワガママな女の子を可愛く歌い上げる曲かな〜〜」と勝手な予想してたんですが、実際に聴いてみて衝撃を受けました

この曲、確かにワガママな女の子目線…の曲ではあるんですが、言っていることは「もっとワガママ言って!」に近いです。
一見するとカップルの曲…に見えて、きっと友達以上恋人未満みたいな感じなのかな。

というのも、田村ゆかりさんは以前ブログで自身の楽曲のテーマを「永遠の片想い」と称されていました。
(何年も前の一言を引っ張り出して掲げてしまうのは、御本人は嫌がられるかもしれませんが…自分にとってはとても印象に残る言葉だったので引用させてください)

片想いの曲、という観点からこの曲を聴くとまた少し風景が違って見えます。

歌詞中に「なぜそばにいてくれるの」などとあるように、きっとこの歌詞中の「君」は女の子のことを全て受け入れてくれるんですが、それ故に女の子はいつもワガママな態度を取ってしまう…でもそれは「たまには君もワガママな態度を取ってくれないと、甘えてくれないと対等になれないよ」的な…ことなのかなと、でもそう思うほど女の子自身がワガママな態度を取ってしまうという。何それ尊い…。セルフィッシュ。

というか、この曲、『君をつれて』へのアンサーソングでは(勘違い)

そして、
この曲をより深くしてるのが後半の「いいでしょ?」というセリフです。

ここだけ少し大人っぽいというか、それまでの可愛らしさMAXな歌い方よりも少し落ち着いた表現なんです。きっとこれがこの女の子の普段の感じなんじゃないでしょうか。普段はちょっとお姉さんっぽい態度を取りながらも、でも実は心の中ではとても可愛らしい感じで…って何それツンデレですか。クーデレですか。ありがとうございます。

これが「いいでしょ?」の一言がこういった表現でなく、それまでの歌い方の延長上だったら、単に可愛らしい曲…と思ったかもしれません。
ここに「聴こえないように」でも書いた、声優としてのゆかりさんの表現力が凝縮されているとも思います。

そしてこれは女の子の曲であるとともに、男の子目線からの曲でもあると思うんです。女の子目線で「君」のことを歌うことで

このちょうど4分間の曲の中で、女の子の気持ちを歌うことによって、この関係性や男の子の気持ちまで表現するって…何それすごくないですか?

こう言った風に恋や永遠の片想いを軸に、様々な切り口で表現されるのがゆかりソングの魅力です。

それば次の曲でも現れています。

4.花チル夜道

「永遠の片想い」をテーマに色んな切り口から歌っているといいましたが、それは単に目線の話だけではありません。

「片想い」を軸に人物の関係性、心情、物理的/精神的な距離、時間さえも様々に展開されます。そして時間というのも一意ではありません。

現在から過去・過去から現在・現在から未来とそれぞれの位置に立ったものや、恋愛というものにおける時間(順序)、季節、一日の中での様々な時間帯と、シチュエーションごとに感じるセンシティブな部分が研ぎ澄まされ、歌にされているからこそ一つ一つの歌に別の魅力を感じます。

この曲では「花が舞い散る夜道」を舞台に歌詞が紡がれます。

ここでいう花は歌詞にもあるです。
梅は「溢れる」、椿は「落ちる」、牡丹は「溢れる」、菊は「舞う」
花が終わる言葉がそれぞれにある中で、『散る』は桜のための言葉なんですよね。

この歌は、素直に歌詞を取ると別れの歌です。
まだ想っている人と離れなければいけない、そんな瞬間を桜が散ると表現されていますが、ここは桜じゃないと意味がない、と思いました。

というのも、2014年に行われたFruits Fruits Cherryというライブツアーの中で流れた映像でこんなシーンがありました。

桜が咲くのは、約束された楽しみです。
おそらく、かならず咲いてくれます。
そんなに確実は約束は、ちょっとありませんよね。
あのあたりが、そのあたりが、ピンクに染まるんです。
あんなふうな季節があること、 ほんとに いいね。

これを見た時、本当にこの人は言葉のプロだなと。感動した記憶があります。
(FFC…本当にいいライブツアーでしたね、多分「一番好きなライブツアーは?」と聴くと、FFCを上げる人が多いんじゃないでしょうか)

花チル夜道の歌詞の中に「ここが同じ場所でも すべてあの日と違う」という部分があるように、きっと二人は初めての頃にも同じ季節に同じ夜道を歩いたのでしょう。

それが、そんな約束である「桜」が散ってしまうところに、ただの「夜道」だけでも、「あの頃」という過去だけではなく、過去から今までに巡った季節の数を、通り過ぎた時間を感じます。


そして、この曲は一曲目の「聴こえないように」と逆で、歌い方に極端な感情の振れ幅が無く感じます。

そう思うと、ゆかりさんがこういった曲、例えば『雨音はモノクローム』などを歌うときも、どこかあえて感情を抑えている感じがあるかもしれません。
なんとなくですが、ほんの数分、数秒、止まってしまっている時間を歌い上げているのかなと思いました。

そう考えると、今と過去を振り返りながら、季節の巡りや、瞬間を、たったこれだけの歌詞で表現されている、作詞家の松井五郎さんはやはり天才では…。そしてそれを歌い上げられるゆかりさん最高では…と思ってしまいます。

さて、作詞家の松井五郎さんの名前を出しましたが、
特に近年のゆかりソングを語る上で、松井五郎さんの存在は欠かせません。

『Gratitude』『涙のループ』『ねぇ恋しちゃったかな』『Hello Again』などなど・・・上げるとキリがありませんが、たくさんの作詞を提供されています。

そしてこのミニアルバムでも、4曲目以降は全て松井五郎さんが作詞されています。

松井五郎さんの書く歌詞は、明るい歌詞も大人っぽい歌詞も、どこかしっかりと「相手」が見えるんですよね。歌詞の先に伝えるべき姿がみえるというか、短い詞の中に凄く情報量が込められているように思うんです。

自分もデザイナーの端くれなので、「分かりやすさ」と「深さ」を両立する難しさは多少なりとも知っているつもりです。

それをこれだけの数の楽曲で、そしてシチュエーションで表現されているのがまず信じられないですし、なによりゆかりさんの歌声や演技力から生まれる表現力との相性が、神がかり的に抜群だと思います。

足し算ではなく、掛け算で、曲の魅力が何倍にも何十倍にもなっている感覚を、松井さん作詞の曲からは感じます。
(もちろん他の作詞家さんの曲も素晴らしいです、間違いないです)



5.Libido zone

1.2.3曲目の様な可愛らしい曲から一転、大人っぽい一曲。

こういった曲を歌う時のゆかりさんはファンの間では「大人ゆかりん」…もとい「ゆかりおねいさん」などと呼ばれたりもします。

この曲、人によっては『Cursed Lily』などを思い出す方もいるのではないでしょうか?

冒頭に「You just make me love you」というセリフと、悲鳴から曲が始まります。
そんなことあります?数曲前までは「いいでしょ?」って可愛らしく囁いてた人が。このギャップ、表現の幅こそゆかりソングの大きな魅力です。

そしてそこの中心にあるのは「片想い」というテーマなんです。

こんな大人っぽく、妖艶な曲で、「狂いそうなんだ」「どれくらいあなたを疑えばいいの」という過激な歌詞にもかかわらず、「寂しさの毒が回る」などとても純粋な感情がストレートに表現されています。

そして、そんな純粋な感情の発露だからこそ、どこか心のそこから絞り出すような、生っぽさがこの曲の、大人ゆかりんの魅力だと思います。


6.シレーヌの心音

Libido zoneに続き、松井五郎さんと大島こうすけさんのタッグによる一曲です。

タイトルに有るシレーヌとは、フランス語で「セイレーン」、その歌声で海行く人を魅了し、遭難させるという怪物の名前です。

この歌は、セイレーンの物語を知っているとより面白く、叙情的に聴くことができるのかなと思います。

その歌声を聴いた人を全て遭難させてしまう怪物、それはきっと愛する人、今はもう自分の前にいなくなった人に向けて歌っているんだと思います。

思い出から抜け出せずに、自分が抜け出せないのも分かっていて、過去の記憶に溺れていく…沈んでいく…。


そんな自分をどこか客観視し、水に阻まれた意識の外側から見て、歌っているような。そんな感覚になる曲です。


ゆかりソングには「花」「星」というモチーフがよく登場するんですが、個人的にはそれと同じぐらい「水」や「雨」というモチーフが好きです。
『雨のパンセ』『Rainy Rainy Sunday』『AMBER 〜人魚の涙〜』など、ポジティブなものからちょっとだけ寂しげなものまで、全部好きです。

雨は憂鬱、という人も多いかもしれませんが、雨の日や水の中って外の世界と自分との間に空間を作ってくれるじゃないですか。
雨の休みの日の窓際や、水の中を揺蕩っているときって、自分の内側に意識を向けられるというか。

ゆかりさんが歌う水に関する曲って、そんな感覚に近いものを感じるんです。波紋が広がって、包み込まれるというよりも自分が沈んでいくような感覚というか。そこには優しさとかそういうのではなく、形のない心地よさが存在するというか。

Libido zoneが生で純粋な感情の表現だったとすると、シレーヌの心音は叙情的で比喩的な、(変な言い方ですが)2曲聴いてこそ良さがよりある・・・みたいな曲に思いました。


7.未来の果てにEscort

さてここまで6曲語って来ましたが、何を隠そうこの曲こそ、自分がこのアルバムで一番好きな曲です。

ただ、何が好き?って聞かれても、明確に言えないんです。
わからないんですが、何故か一番心に刺さるんです。

自分がゆかりさんを知ったのが2003年で、ハマったと言えるのが2004〜5年ぐらいなんですが、その頃の曲調ににている部分が少しあるからかもしれません。

『君をつれて』『Shining Rabbit』のように、未来を感じさせる曲が好きというだけなのかもしれません。

「雨の雫も 星のかけらも 思い出を作るアイテム」の歌詞に、雨のパンセやhoney moonの面影を勝手に感じてるのかもしれません(しかし、ゆかりさんはこういう深読みは多分好きではない気がする…苦笑)


多分ですが、この曲が一番僕の中で「田村ゆかりっぽい曲」何だと思います。

わかりやすくアッパーな曲や、メロディアスな曲、情感たっぷりの大人っぽい曲、メルヘンな曲。

色々歌われるゆかりソングですが、
このミディアムテンポで、少しだけ憂いのある優しく明るい歌声で、ともすればあっさりと歌っているようなこの曲が、おそらく自分の人生を励ましてくれている「田村ゆかり」という存在がストレートに表わされていると感じるのかな、と。


8.逢うたびキミを好きになる

最後に収録されたこの曲が、実はこのアルバムの中で一番のアッパーソング、ライブでも盛り上がる曲です。

この曲は、勝手に、本当に勝手にで失礼なんですが、
ゆかりさんとファンの関係性を松井五郎さんが表現してくださった曲なのかな?と思いました。

というのも、ゆかりさんの曲にしては珍しく、視点がちょっとだけ曖昧なんです。女の子の目線なの?男の子目線なの?誰から誰への片想いなの?

でもそれって、実はあえて曖昧に書かれているんじゃないかと。

そしてファン目線でこの歌詞を見た時、いつもゆかりさんに対して、ファンが思っていることが、浮かんできます。

この曲の中で一番好きなフレーズは
「さみしがり屋で 目が離せない かならずそばにいるから 夢見ようよ」という部分です。

曲を聴き、ライブに行き、ラジオを聴き、アニメを見て、
ゆかりさんと出会うたびファンはこう思います。

逢うたびキミを好きになる。


もしこの曲を通して、ファンからだけではなく、ゆかりさんからもファンの自分たちに対して、少しでもこの歌詞のようなことを感じてくださっているなら。

「永遠の片想い」というテーマから唯一例外として出された曲だったら。
ファンとしては、すごく嬉しいなあと思うわけです。


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そんな妄想をしながら、この先も、ゆかりさんが「もういいかな」と思うまでは応援し続けます。(人の心は移ろいやすいといいますが、流石にすでに人生の半分以上をファンとして過ごしているので、大丈夫かと。笑)

ここまで色々書いておいて、まだまだ言いたいことの1/4も言えてないなあ…という感じです。それくらいゆかりさんの魅力は語り尽くせないのです。

というわけで、
最後まで長々とお付き合いありがとうございました。


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ありがとうございます!
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京都でゲームのUIなどを中心にしたデザイナーをやっています。
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