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2Dバトル画面、左に立つか右に立つか

この記事は「Game Graphic Design Advent Calendar 2019」の11日目の記事です。素晴らしい記事がたくさん上がっていて、記事を書くプレッシャーが凄いです。笑


さて、今回は「2Dのバトル画面でキャラは左右どちらに立つべきか」問題について考えてみます。

2Dのゲーム、特にRPGなどにおいて、「バトル画面」と呼ばれるものはだいたい横からの視点のことが多いと思います。

ここでよく聴く話題が「味方と敵、どっちが左でどっちが右」 問題です。
問題と言いつつ、正解も無いので(ある意味何でも正解なんですけど)、左右どちらに立つかで、どういう意味をもつのかを考えてみました。
(筆者がスマホアプリの人なので、例に上げるのがスマホゲーが多いのはご了承ください)

1.
時間の流れ

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一般的に時間を視覚化した時「左から右への流れ」を自然に感じる方が多いと思います。
例えばカレンダーや、年表、また進化論の図などを思い浮かべてみてください。左から右に進むケース、多いですよね。Youtubeのシークエンスバーとかもですね。

また、UIやWebデザインでも画面上の動線は基本的には左から右。

人の目は(時間の概念にも関係するんですが)、情報を得るために左から右に動くほうが自然な動きとされているらしいです。
(左側に急所が多いため、左前を警戒するという本能的な理由もあるらしいですが、そこらへんは眉唾)

これにより、画面右から何かが登場した場合、視線の動きとぶつかって加速度が増し、より情報を得やすくなるのではないかと考えています。


わかり易い例でいうと、ニコニコ動画などは、あれだけ多くの文字が画面上に流れるにも関わらず、視線と文字が交差するため、目の移動コストが抑えられ、結果的に大量の情報を処理しやすいのではないかと。
(そういう例で言うと、太鼓の達人の譜面が左から流れてきたらおそらく難易度が何倍にもなりそうです)


つまり何かと言うと、人(特に現代人)は左端を0として考えるように習慣づいているので、何か新しいものは基本的に右側で起こると予想するケースが多いんです。

左が過去/右が未来という考えに基づくと、バトル中にステージが移動するものは左から右(画面的な進捗感があるもの)は「左に主人公が立ち、右から新しい敵が出現する」という形のゲームが多いのも納得感あります。

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例)プリンセスコネクトRe:Dive、シノアリス、ラストピリオド など


2.
舞台的概念(上手下手)

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さて一方、演劇/映画/アニメの表現では、観客(視聴者)から見て右が上手(かみて)で、左が下手(しもて)という概念があります。

それに乗っ取ると、舞台中での偉いもの、重要なもの、主役は右側に配置され、悪役や対抗勢力が左側に配置される事が多いです。

演劇の物語中では登場人物は基本的に、観客から見て右側(上手)から登場し、左側(下手)に消えていきます。つまり、動線として「右から左(←)」が自然な流れとされています。


この考えでいえば、例えば舞台演劇などを演出の参考にしているゲームなどでは「主役は右側」という考え方から、「キャラクターは右側に立つ」という考え方が用いられそうです。

ファイナルファンタジーや、ロマンシングサガなど、物語性の強いRPGに「右配置」が多いのはそういった理由かもしれません。

キャラクターたちが中心で、「敵がやってくる」というパターンですね。

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例)FGO、FFRKなど


3.
操作の主軸

1の時間や、2の上手下手の概念などは普遍的な理由ですが、一方でゲーム独自の理由から立ち位置が決まっている場合もありそうです。

それは操作方法と指との関係性です。

一般的に、アーケードゲームや、コンシューマゲームに置いて、「移動操作は左側にあるスティック」「決定操作は右側にあるボタン」で行うことが多いです。

この様に、物理デバイスには「左手が操作・移動」「右手が決定」という文脈が存在するため、そのゲームにおいてプレイヤーのどちらの操作がキャラクターの行動に影響を与えるのか?という視点から、立ち位置が決まることもあります。

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例えば、わたしの好きな「テイルズ」シリーズや、先程も上げた「ファイナルファンタジー」シリーズは、どちらもキャラクターの個性が強いRPGですが、

テイルズの戦闘は自分でアクションゲームばりにキャラを動かすので、操作軸であるスティックのある左側にキャラがいる(自分の身体延長線上でキャラを動かす感覚)


FFの場合は、自分がキャラの大きな行動(殴る/守る)などを指定するに近いので、操作軸である決定ボタンのある右側にキャラが立つ(キャラの思想や動作を右手で決定するのがメイン)

これはキャラクターが「自分に近しい・人格が乗り移って操作する存在」か、「客観視するべき存在(キャラクター)」のどちらの度合いが高いかとも言えるかもしれません。

余談ですが、テイルズはレジェンディア、FFは9が好きです。

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そして、スマホアプリの場合はそういった操作系を画面に直接触れて行う必要があります。

例えば、「Fate/Grand Order」のバトル画面をイメージしてみましょう。
バトルの流れはざっくり以下のようになるかと思います。

敵の情報を見る
スキルを使うか考える
Attackを選ぶ
アーツを選ぶ
決定をタップする

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※画像はFate/Grand Order 公式サイトよりお借りしました

それぞれのフェーズごとの完了行動である「決定」が情報/視線の流れ。
つまり操作系のルールとして右下に配置されています。

「決定」をしてキャラが行動するため、味方キャラクターが右側に来ていますね。
これでいうと、「グランブルーファンタジー」なども近しい理由だと思います。

グラブルの例を出したので、スマホで起こりうる例外的な理由をもう一つ上げておくと「持ち方」です。

縦持ちの場合は右手で持つ人が多いため、メインのポインティング装置である右手親指がキャラにかぶらないように、キャラが左側に立つなど、画面外の物理的制限も影響する場合があります。(これはキャラだけじゃなくUI全部に言えますが)


まとめ

【キャラを左に置く場合
・ゲーム的(コンピュータ的)文脈
・プレイヤーの身体感覚の延長線上にプレイさせたい場合
 →視線の流れに沿って自キャラを補足しやすいため、アクション要素のあるゲームに向いている
・空間、時間、ナラティブ的に進んでいることを表現したい場合
・冒険感、侵攻感、強大な敵を能動的に倒しに行く感を演出させやすい
 →主人公から見て、敵/未開の地/新たな領域に踏み込んでいくことになるため

ーーー
動きの大きいゲーム(アクションなど)、
キャラが未知の場所を冒険して進むようなゲーム向き
【キャラを右に置く場合
・演劇的文脈
・視線が自然に動きやすいため、受動的な体験に向いている
・場所を移動しないバトル(空間を限定したい場合)
・キャラクターに指示を出すようなバトル(決定動作が中心)
・敵を「待ち構える・迎撃する」感覚
・キャラクターの強キャラ感(個性)や制圧感、存在感を演出させやすい
 →敵側が「予期された訪問者、主人公たちが当然倒すべき存在」として表現されるため

ーーー
キャラが受動的に障害を跳ね返す体験
映画的、演劇的表現をバトルに取り入れたいゲーム
アクションよりも指示を出すゲーム向き


色々書きましたが、最終的にはゲームシステム、ナラティブ的な自然さやUIの都合、見た目の良さ、同ジャンルでのデファクトスタンダードなどから総合的に判断するのが良いかと思います。

その上で、迷ったときの判断基準・知識として上記したような考えを使えると良いかな〜と思いました。

また3Dだと違うんだろうな〜。
3DのRPGはちゃんと作ったことないので、そのあたりのお作法も聞いてみたいです。



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ありがとうございます!
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京都でゲームのUIなどを中心にしたデザイナーをやっています。
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