悟空伝と孫悟空伝 その2

前回怒濤のように「悟空伝」に関してのぐだぐだを書き殴ってから7ヶ月経ってたらしい
なんと恐ろしい!この時の流れの速さといったら!(おまえが壊滅的に怠惰で忘れっぽいだけじゃ)

さて「孫悟空伝」のほうも見返したので今度こそ忘れないうちに自分へのメモ代わりに書き残しておこうと思う

あ、いちおう「悟空伝」については前回こっちで語ったので
https://note.com/torinakuura/n/n42e2d54307b6

「悟空伝」


で今回は「孫悟空伝」について話すので、2つがぜんぜん違う話だってことは最初に言っときます


ネタバレ領域は下で盛大にぶちかますので、ネタバレは嫌だけどどんなもんかさわりだけ知りたい、って方は「・・・」から下にはいかないようご注意下さい。

とりあえずネタバレなしでざっくりポイント
・孫悟空が山の下敷きになって三蔵法師を待つことになる、そのちょい手前の物語
・天界のトップは玉帝陛下ということにはなってる。そして三界を統べる役を玉帝から仰せつかってる鉄面星君、これが絵に描いたよーな悪役美女
・孫悟空伝という題名だが、主役は完全に楊戩(なぜか日本語訳でヨウゼンと発音され字幕もヨウ・ゼンとなってる、ミリしら勢にはどうでもいいポイントだろうが原典履修者には猛烈違和感w 正しくはヨウセンです)
・楊戩のお父さん「楊天祐」が出ずっぱり、要するに彼の出生にまつわる話で孫悟空はそれを助ける(!?)役どころ
・哪吒は一瞬出番有りだが…(沈黙)、ファンは見なくていい
・ちな「悟空がまともな人型であってほしい」という私個人的切なる希望は少なくともこの物語ではいちおー果たされている(だから観てられる)。悟空がそれなりにイケメン。毛むくじゃらなのはまあしょうがない範囲。

物語の完成度としては残念ながら前回語った「悟空伝」よりは数段下がりますが、面白い切り口から「こんなifも有りか?」て要素を盛り込んでるので個人的にはこちらの孫悟空伝のほうがより評価したい。
あ、腐女子的に「話の腰を折ってくる」ヒロインが一切いないのがすっきりしててそこが一番いい(ひでえ理由だな)!!
こっちの設定で、もうすこし物語の完成度が高かったらそこそこイイ話になったんじゃないかなァ…という、「惜しい惜しすぎる!」という叫びを↓↓↓以下に。ぶっちゃけモード(くそ長い)ストーリー詳細と、その他もろもろ怒濤の突っ込みです。
なおストーリー詳細説明に関しては、わたしの意訳がモロ含まれ若干?解釈が変だったり記憶違いもあるかもしれません、ある程度ねじ曲げられてるという前提の上でよろしく!




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2回目観てやっと気がついた、楊戩の俳優がベニー・チャンで「あっれ?TVB西遊記2期で孫悟空やった人じゃん! えっ孫悟空やったひとが今度は二郎さんやってたんだ。改めてびっくり。
そんで、中国映画ではいきなり唐突に始まるのは良くあることなんだけど、この話は珍しく親切設計で出だしにちゃんとナレーション入る。ただその設定自体がぶっとび唐突すぎてポカンと口空いちゃうかんじ。(多分ぶっとびすぎてナレーションなかったら理解するひと皆無なんだろうな!)どんくらいぶっとびかというと
「天界を支える穹天の柱とかゆー謎機構を維持するために労働力が必要な神さまが、人間に「神と同じ力をくれてやる」と騙して天界へ誘い無理やり働かせてたが、人間も騙されてると気付いて反乱起こして、だけど負けて結局神さまの奴隷として労働力にされました」(意訳)というナレーション。
なんかすげえ意味なさげで無駄に大きな天を貫く骨組みの柱を、手回しの巨大な回転棒で、大勢の「罪人」(神に逆らった人間)がごうごう回す、いわゆるわかりやすーい絵面の。あっあれ、映画ロードオブザリングのオークたちが動かしてるからくりみたいな??
三界を統べる役だという「鉄面星君」はむちゃくちゃ悪役美女で、「人間なぞ虫けらと同じ! 神に逆らったやつらを奴隷としてこき使うのはあたりまえええ!!!」という典型的絶対王権…いや絶対神権。いろんな意味で「神とは、なんぞや」と問いかけたくなる。

冒頭。人間側として戦い、傷つき為す術もなく倒れ伏している孫悟空。圧倒的な暴力を振るう鉄面星君が逃げ惑う人間の幼女を巨大な岩のゴーレムで潰そうとする(それを庇おうと間に入る)…ところで目が覚める楊戩。
白髪の老人・太上老君がやってきて楊戩にあれこれと説教する。老君は彼の師匠らしい。楊戩は説教を聞き流し、ベランダから城砦?の塀に飛び乗って腰掛けるや懐から朝ご飯を取り出し囓り始める。おまえが孫悟空かよ!という奔放さ。こういう仕草は他の楊戩(=二郎さん)役には無い雰囲気で、わざとっぽく欠伸してみせたり、おやつつまんだり、とゆるめのイメージを前面に押し出してくる。

場面かわって孫悟空はなぜか天界に「弼馬温」として召喚され、天界で働くことになっていた(西遊記の原典設定でも、天は悟空を大人しくさせるために目の届くとこで飼おうって召喚してただけだからここは軽く流そう)。悟空は表面上はおとなしく命を受け馬小屋に行く。
しかし悟空、実はあるひとの頼みで天宮に来ただけで、馬の世話をするつもりなんかない。案内役が居なくなった途端真面目な顔つきになり、一ひらの毛に変身して天宮の地下深くに潜り込み、巨大な「穹天の柱」を回す部分のとこまであっちゅー間に辿り着く。
そこには虐げられたぼろぼろの人間たちが居た。悟空は番人を倒すや、捕らえられた人間を術で地上に送り届ける。途中得体の知れないグロテスクな怪獣が襲ってきたがこれもなんなく撃退。が、たったひとりだけ頑なに逃げないと言い張る老人が残っていた。悟空は「一人残らず助けると約束した」と言い、老人をちょー乱暴にひっつかまえ無理やり逃がそうとする。

しかし老人には天界から逃げられない「刻印」が刻まれていて、悟空の術でも地上に逃がせなかった。悟空は「術がダメなら正面突破」と乱暴に老人を引きずると扉から外へ出る。ちょうどさっき朝ごはんもぐもぐしてた楊戩が牢破りの狼藉に気が付き駆けつけてきて、出てきた悟空+老人とご対面。
ちな楊戩は、このときは悟空に敵わずコテンパン(弱っ)。そして老人は天界の番人である楊戩を「戩」と呼び(中国語ではアーラン?と聞こえる※別途後述)、しきりと気遣う。一方の楊戩は囚人に用などないと態度が冷たいまま。とうとう悟空が彼を縊り殺そうとするところで老人がたまらず「いわれたとおり一緒に逃げるから彼を殺さないでくれ」と頼む。悟空は楊戩をその場に捨て置き、老人を連れて正面から脱出。

そう。この老人こそが楊戩のお父さん、楊天祐だった!
(人間なのになんで生きてんの楊戩天界にきて500年経った言うてたよね)

悟空は一旦古巣の花果山にお父さんを連れ帰るが、胸に刻まれた印のせいで弱ってガクブルしてるので急ぎ目的地へ移動。
陰惨な雰囲気の廃墟(廃村の焼け跡)にやってきて、悟空が「あんたら人間の囚人を助けに行ったのは、あるひとに頼まれたからだ」とお父さんに改めて説明し夜が更けるのを待つ。やがて焼け跡から次々亡者が起きだし、それと共に悟空に頼み事をしたご本人(美女)も現れる。
お父さんが彼女の顔を見てびっくり、「瑠璃」という名のその女性は、激おっそろしい天界の親玉(笑)鉄面星君とくりそつだった!!
なんで同じ顔かというと「瑠璃」は鉄面星君がかつて持っていた「人格」が分離してできた存在、つまり同一人物だから。鉄面星君は三界を統治するにあたり情(心)が妨げになると判断し、不要な情=人格を己から分離し捨て去ることにした。捨てられた「人格」は独立し、己を切り捨てた「神格」に反乱を起こし、神に対抗する人間たちを指導する側となった。そして100年前に起こった戦いで村は滅亡し、生き残った人間は天界に連れ去られ奴隷としてずっと拘束され続けており、彼らを救い出してほしい、と瑠璃は悟空に頼んだのである!!!!

一方の楊戩は悟空に負けて逃げられ鉄面星君の前で謝罪謁見。いやみたらしい雰囲気の白い爺さま神(多分元始天尊と霊宝天尊だと思うんだが名前は出ない)にめちゃバカにされたが、鉄面星君は楊戩に三尖刀を与え、「逃げたサルと父親を捕えよ」と命じる。

悟空は瑠璃に「頼み事はちゃんと果たした、あとは待つだけ」と話し、お父さんの刻印を消してほしいと頼む。瑠璃はお父さんの「刻印」を解除してくれ晴れて自由の身に…なったところで、楊戩が三尖刀を持ってその場にやってくる。最初は天に歯向かう罪人として「瑠璃」にも刃を向けるが、その戦いのさなか、楊戩は隠されていた「天眼(三眼)」を覚醒させ、同時に父親から自分の母親「雲華仙女」についても知らされる。母は息子と父を捨てたのではなく、息子を守るために桃山の下敷きになったのだった…(楊戩はお母さんが罰を受けた経緯を今まで知らなかったらしい)

そうこうするうち、悟空が天で逃がしてやった人間の囚人たちが故郷にたどり着いた(何故術で飛ばせるなら直接村の前に送らなかったんだ悟空)、朽ちた体の亡者たちはそれに気づき生前の姿を束の間取り戻す。そして感動の再会を果たすと亡者のほうは満足し、光と化し消えていった。生き残っていた囚人たちは泣きながらそれを見送る(※お父さん500年もそうだけど、天界だと寿命が無制限になるらしい、奴隷の身分で虐げられて寿命だけ無制限とか罰ゲームにもほどがあるわ)。
その光景を父と共に見ていた楊戩に、瑠璃は優しく「お願い、道が険しく辛くても諦めないで」と語りかけると、彼女も亡者と同じように光と化し消えていった。

さて楊戩は父と仲直りした。お父さんも和解できて満足し「天界に連れ帰ってくれ、おとなしく罰を受けるよ」と言うのだが、当の息子はいきあたりばったり的に「天にはもう帰らないし父に罰なんか受けさせない」と言い出した。悟空はそんな親子に空気読まず「花果山に一緒に来いよ」と誘うのだが丸無視!して親子はかつて地上で暮らした家へとむかう。
廃墟と化していたぼろぼろの家(500年?経ったとは思えんが)、感慨深く見まわす親子。椅子?に置かれた風車を楊戩が手に取るとお父さんが「幼いおまえはそれがお気に入りだった」と思い出話をしてくれた。
楊戩は、同時に「人間の血が混じっている」とさんざんいじめられた幼少時の思い出もよみがえらせる。(天界っていったい…ww)

親子は家を修繕しつつ、穏やかに地上で暮らし始める。お父さんは「天界から必ず追手が来るぞ、ほんとうにいいのか?」と幾度も息子に確認していたが息子は曖昧に無視。そして案の定さっそく天界の追手・哪吒が出現した。彼は人間を蔑んでおり登場時から挑発的な悪口を言うが、対する楊戩もしれと「うるさいヤツだ」と応酬。哪吒は余計に腹を立て「おまえのことはずっと気にくわなかった」とぶち切れるも、楊戩にあっさり撃退された(戦闘場面すら無し)。
哪吒は天界に逃げ帰り白い爺さま神たちに「三尖刀さえ無けりゃあんな奴に負けなかったのに」と泣きつく。鉄面星君のお怒りが怖い老人たち。そのうちの一人(真君と呼ばれていたが名は不明)が孫悟空を倒しに行くぞと息巻くもよぼよぼ爺なので興奮して呼吸困難を起こしぶっ倒れ「医者を呼べ!」とアホな騒ぎになる(えっ神さまって医者要るの?ていうかそんなよぼよぼしてて平気なの??) 残った爺ふたりがグチグチ言い、ようやく太上老君が弟子の不始末を片付けることになり、地上へ降臨。のんきに薪を背負って歩く親子の前に見知らぬ人間の振りで現れる。正体の判っている楊戩、お父さんを遠ざけて師匠と二人きりになり話をする。
老君が「最近孫悟空が自らを斉天大聖と名乗って好き放題している」と言うと楊戩「自分には関係ない」と言い張ったが、「でもやつはおまえの父親を逃がした張本人だし、おまえの父親だって鉄面星君が見逃す筈はない、放っておいたらどのみちふたりとも命はないぞ」と脅す。
「おまえが孫悟空を捕らえ天界へ出頭すれば、やつを捕らえた手柄でおまえの罪は帳消しにしてもらえる。父親の罪も少しは減じてもらえるかも」と言う師匠の言葉を楊戩はかみしめた(は?えらい言いぐさじゃね?悟空とんだとばっちりじゃね??)。
結局、楊戩は三尖刀を携えて花果山を訪ねる。悟空は一匹のサルの寿命が尽き死にゆくところを優しく見送っている最中だった。悟空「そいつと話があるから二人きりにしてくれ」とサルたちを遠ざけ、楊戩と対峙。
悟空が「おれを殺しにきたのか」と聞くと、楊戩「わたしは天兵だからおまえが天に歯向かえば殺すしかない。だが友としては、おとなしく天命に従い罪を償ってほしい。花果山を星崖村(瑠璃の居た、かつて滅ぼされた人間の村)の二の舞にするな」と説得。悟空がぶち切れて「結局おまえは神だ、友じゃない」と突っぱね楊戩を殴りつけた。が、強くなっている楊戩、途中で悟空をはね飛ばし、その上で「天界に共に行こう。何があっても一緒に立ち向かってやる」と悟空に手をさしのべた。悟空、暫く考えてからその手を力強く握り返す。

天界で、鉄面星君の前で謁見する楊戩と、罪人として立つ悟空。
楊戩は悟空を捕らえたことで罪を帳消しにしてもらい、悟空は「閉じ込めて働かせていた囚人を逃がした」罪を認め罰を受けると宣言、500年間おとなしく天界で馬の世話を続ければ赦してもらえることになった。だがその場から立ち去るとき鉄面星君は悟空を呼び止め「おまえと瑠璃が探していた自由とやらは見つかったのか」と問いかけた。言葉に詰まる悟空に、鉄面星君は意地悪くみせつける。その場に追加で連れてこられたのはかつて悟空が(瑠璃に頼まれ)脱走させた囚人の人間、のひとりだった。悟空が知らぬ間に、彼らは再び天に捕らえられ、また罰を受けて穹天の柱を回す奴隷にさせられていたのだ。
彼を見た途端悟空は激し、鉄面星君に向かって攻撃するが、それより早く悟空の周囲をなにやらの結界?が閉じ込め、その中で悟空はもがき苦しむ。鉄面星君はさらに楊戩に「悟空を殺せ」と命じた。「悟空を殺したらこれをやろう」と小さな容器を差し出し「これを使えばおまえの父親を神にしてやれるぞ。もう人間だと莫迦にされることもなくなる」とささやく。
…だが楊戩は、振りかぶった三尖刀を悟空ではなく、鉄面星君に向けた。寸前で止めた鉄面星君は笑みを浮かべ「良く見破ったな」と楊戩を褒める。自分が手にした容器が空っぽで、さっきのが偽りの唆しであったことをみせつけ「人間を神にすることなぞ出来ぬ」と嘲った。
楊戩は星君の刃に貫かれ、何故そうも抗うのかと問われた。「おまえにとっては簡単に捨てられるものでもわたしにとっては捨てきれないものだ」と息も絶え絶えに答えた楊戩を捨て、星君はその場から去る。太上老君が「おまえにとってこれは天の試練だ。耐えてみせよ」と語りかけたと同時に楊戩はその場で砂と化し(!!)崩れ去る。結界に閉じ込められさっきからずっと呻き苦しんでいた悟空が、それを見て更に嘆きの悲鳴を上げた。

場面変わって悟空は、天の宙空に鎖で繋がれた巨大な炉(八卦炉か?)の中に閉じ込められ星君の雷で処刑されようとしていた。鉄面星君は「神こそが絶対!」「今度こそ人間どもが二度と神に歯向かわぬようみせしめのために完膚なきまでに殺してやる!」と猛烈息巻いて目もイっちゃってる状態wwそのころ楊戩だった砂の塊から(お父さんが思い出語りをしてくれた)風車が出てきて、風車を中心に砂が赤く燃え始める。
楊戩は夢の中で母に出会っていた。「どうして僕はいつもみんなにいじめられるの、僕が悪いんだってみんなが言うんだ」と言うと仙女は笑って「お母さんもいじめられてた。でも諦めなかったのよ」と返した。「そうしておまえが産まれたの。お母さんはおまえが産まれて幸せを手に入れた。だからおまえも諦めないで」そう言って風車を手渡してくれた。
処刑されようとする悟空(の入った炉)を前に、三眼を完全に開いた楊戩が完全復活で現れる。星君「まさかおまえに天眼を開かせることになるとは迂闊だった」とかなりたじろいだ様子。炉の中の悟空が喜び叫んで「そう簡単に死ぬとは思ってなかったぜ!」と炉から飛び出し「手を貸してやる!」と楊戩に加勢(…え?w そんな簡単に出れんならさっさと出てw)。楊戩は鉄面星君に対し圧倒的な力で対峙し、打ち勝った。
「星君、人格と神格は共存せねばならない、人格を捨て人間を顧みないおまえに三界を統治する資格はない」楊戩は三尖刀を突きつけ、星君は抵抗をやめた。
だが悟空は星君が大人しくなったあとも怒りが収まらず「天界なんて残らずめちゃくちゃにぶっ壊す!」と息巻く。すると楊戩、しれっと三尖刀でとめ「天界が悪い訳ではない(え? え? 柱回し続けないと天界が機能しないって設定はどこ? ていうかそれを人間の奴隷wにやらすのってどうなのって話じゃないの?)、すべては鉄面星君の行いだった。おまえが天界を壊すというのならわたしが止める」と、さっきまで加勢してくれた悟空の正面に立った。

エピローグ。(え? え? え? なになにが起こったの?)
いきなり悟空の語りになる。悟空はあのあと罰として山の下敷きになり「お経を取りに行くお坊さんを待て」と命を下されたらしい。「別に待ってないけどな」とちょっとツンデレ台詞もつけたし。
楊戩のことを思い出し「あいつは相変わらずだ。いまは二郎神と呼ばれている」と呟き「そういえば最近は犬も一緒らしい」と近況報告。(なんで山の下敷きのくせに知ってんの?まさか楊戩ときどき会いに行って自分で自分の報告してんの?それとも誰かがこまめに連絡してやってんの?)
楊戩、もとい二郎神はまたなにやらもぐもぐおやつを食べながら、黒犬(※哮天犬は原典通りならむしろ白いボルゾイっぽい犬種らしいけど…黒いほうが影に潜めるしドラマでも黒いのが多いしまあいいか)をかまってるシーンになり…とうとつに終わる!

なんかもうちょっと追加エピあるかと思ったけどあとはスタッフロールのみで何もなく音楽と共にほんとに終わった。

……すごいでしょ。すごいとおもう。唐突さ加減と、物語の空中分解っぷりが。すごい。でもわたしったらDVDまで買って何度もいろいろ台詞確かめちゃうくらいにはこの映画、楽しんでる!!(大笑)

ところどころ、台詞やテーマはいいとこあるんで実にもったいないと思う。お母さんの励まし方とかちょーテンプレで鉄板だけどああいうのは鉄板でいいと思うのね、持っていき方は個人的には好みだった。しかし、例えばだ。天界はいじめっこたちの巣窟じゃない。いやそうだとしても、それならそう大人なリアルに描くべきだと思う、幼稚園児たちの「わー気に入らないやつふんじゃえー」みたいなイジメ方は天界としてはあまりにあまりだよ。
あと「神は絶対なりいいいい!!」ないきり方もつたなかった。もっと壮大にもっと超然と、神としての絶対的な力をみせてくれればいいのに口だけで「人間は虫けら!神こそ至上!」ていわれてもぴんとこないよな。
あとさ、悟空がとにかく最初から最後まで損しかない。悟空が人間に味方するいきさつとか、斉天大聖として暴れ回った詳細部分とか、そういうとこをもうちょっと見えるようにしとけばもう少し感情移入?できたかもしれんのに(尺が足りないんだよわかってるよww)。
ただ地上で生きてるってだけで悟空が人間側に立って。「支配者側」である神に対してとことん怒りと憎しみを持つ理由もいまいちわからない。だって少なくとも悟空は人間じゃないし地上ででも既に不滅の存在じゃない? 超常の力も持ってて天界で暴れ回れる。だのに悟空は天界では「罪人」カテゴリでしかない。
そもそも、星君を一緒に倒した悟空を、楊戩が「これ以上暴れるな」と止めるだけなら判るけど、なんで悟空だけ山の下敷きっつう罰を受けて、楊戩は天兵としてのうのう今まで通りの暮らし(?)してんの?犬まで飼って、おやつつまみながらのんびり不滅の人生(ならぬ神生)謳歌してんの?悟空の罪ってなに? どんな悪いことやったかは物語上語られてないからわからないけど少なくとも星君の前で述べられた罪状は(頼まれて)楊戩のお父さん含む人間の囚人を逃がしたことだよね。それが罪なの? そういやお父さんどこいったの? まさか今でも奴隷として天の柱回してんの?
お母さんは?桃山に下敷きになったまま? なんであんだけ騒ぎになったのに楊戩だけなんもおとがめなしなの?まさか天眼ひらいた相手を刺激したくないから放置プレイ? だいたい鉄面星君を三界の統治者に据えたのは玉帝だろ、玉帝でてこいや。なにか釈明しろ。そして悟空の、少なくとも冤罪というか頼まれていろいろ手助けした分くらいは弁償しろーーー。

と延々叫び続けたくなるのがこの映画でした。
面白かったけど突っ込みも満載でとまらない。視点は色々得るものもあったけど文句も言わずにはおれない。そんな映画なのでした。

あ、そういえば最後に。
お父さんが楊戩に呼び掛ける言葉、「息子や」とか言ってんのかなーと思ってたら何度聞いてもアーランって聞こえるので、これもしかして「二郎」だったりするかなって。わからんけど。










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