僕らは、人生弱者

そこのみにて光輝け

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"Don't be evil"と「きみもぼくと同じくらい悪い人でよかった」

企業のスローガンで最も好きなのは ”Don't be evil" だ。 "Don't be evil" はGoogle社員が行動規範として掲げていたスローガンだ。(邪悪になるな)の精神がテクノロジーで世界を変えると豪語してきたGoogleの大切な価値観だった。 しかし、"Don't be evil" は2015年ごろから徐々に廃止され行動規範からも削除された。新たなスローガンとして "Do a right things"(正しいことをしろ)が掲げられた。 個人的には、"

    • 中米旅 あとがきばかりのこの世界で

      太平洋のど真ん中の空の上にいる。 ぼくはメキシコ行きの12時間にも及ぶフライトの最中だ。空の上でこの文章を書いている。これから向かうのは、パナマだ。ぼくは中央アメリカを旅しようと思うのだ。そして、旅小説を描こうと思っている。(ノンフィクションといった方がいいのかな?) 旅の予定は決まっていない。どこへ行こうか。あちこちの国や場所も渡り歩くもよし(なんなら中米縦断だってしてやろうかな)。それとも、気に入った場所があればそこに留まって何ヶ月もずっと一つの場所で過ごすのもよし。

      • 僕の最近読んだおすすめ小説

        太陽・惑星 上田岳弘世界観がすごい。時空を超えてあらゆる物語が繋がり広がっていく。中世の錬金術、アフリカの赤ちゃん工場、テクノロジーの制する社会、不老不死、SNS社会まで。シニカルな語りと飛躍する想像は、哲学的で知的欲求を沸きたててくれる一冊。著者の上田岳弘は2019年第160回芥川賞を受賞したが、IT企業の役員でもある。 彼女がエスパーだったころ 宮内悠介SF連作短編集。疑似科学をテーマにライターの主人公のルポ調で語られていく。宗教とか超能力を相手にしながら淡々とした描

        • 「金に成る」ことのできない歩兵たち

          駅前のロータリーには溢れていた。人が。車が。建物が。 おしゃれな帽子やアクセサリーをした大学生のカップルが、手を絡めながら歩いている。怒ってるのか荒い声で電話をしている中年の中国人。ネクタイの結び目が汚いのは新社会人なのであろうか、上司らしき人に戸惑うような顔でついていく男性。ブロックの端に座る女性はスーツケースを脇に置いているが、どこからやってきたのだろう。 せわしなく動いている。都市のエネルギーは華やかで、そして、いびつだ。 そんな活気と様々な人に満ちた街の中で、異

        "Don't be evil"と「きみもぼくと同じくらい悪い人でよかった」

          ラ・ヴィダ・エス・ディフィシィル

          朝10時にかけた僕の電話越しの彼女は、「久しぶりね」と笑っていた。 「こっちは夜11時よ。地球の裏側で繋がるなんて面白いよね。」 とボリビア人の彼女は言った。 タリハにいたとき、僕は何を感じていたのだろう。 あのときの感触を今思い出していた。 ☆ 僕はタリハという街に数ヶ月暮らしていた。タリハ(Tarija)は南米ボリビア南部にある小さな地方の街だ。人口は約30万人で、ボリビア第7の都市である。 そんな街に僕は暮らしていた。 僕はそこで多くの人に出会えた。アコ

          ラ・ヴィダ・エス・ディフィシィル