映画アンチャーテッドのこと

さて待ちに待った映画『アンチャーテッド』
今回は字幕、吹き替え両方見てきた。
たぶん誰もが気になっているのは“原作ゲームファンは見るべきなのか”だと思う。
結論言うと、見るべきだと思う。
ただし、原作こそが至高で、原作通り映画化すべき。というファンはやめておくのが無難。
というのも設定には結構大きな改変があるので、その時点で無理ってなるかもしれないので。

ではなぜ改変があっても見るべきだと思うのか。
個人の感想ですが、原作に対するリスペクトや、原作ファンへのサービス精神が確かに感じられるから。
ある程度トレーラーをご覧の方はご存じの通り、原作ゲームのオマージュやデザインをしっかり行っている。
衣装やアクションなどにも原作を意識した所がはっきりと見て取れる。
詳しい部分はネタバレになるので後述。
といった感じで原作ファンにはニヤリとする要素はふんだんにあると思う。
逆にあくまでも原作ファン向けな部分は否めない気もする。
メチャクチャ目新しいトレジャーハントものってわけではないので。
ただ往年のそういった映画が好きな人は見る価値があるとも思う。
ちなみに字幕と吹き替えに関してですが、原作ゲームを吹き替えでプレイしてるかたは吹き替えがお勧め。
やべやべやべ!や、マジかよ。を再現してくれています。
出来ればいい意味でも悪い意味でも使える 「最高」 があればなぁ。


以降はネタバレを含みつつ、各設定の改変について触れていこうと思う。






まずストーリーはオリジナル。マゼランは世界一周をする際に黄金を見つけたが、それをどこかに隠した。
その黄金を求め、同じく黄金を狙うヴィラン達と大立ち回りを演じるというアンチャらしいもの。
時系列としてはネイサンとサリバンの出会いからだが、原作とは大きく出会いの経緯なども変更されているので、あくまでもオリジナルの世界と考えたほうがいいだろう。
原作好きなら都合の悪いところは無視して、原作で描かれなかったネイサンとクロエのなれそめとしてみるのもいいだろう。


では人物の話を。
まずネイサンドレイク。
原作でも映画でも主人公であるが、設定は結構大きく変わっており、
兄サミュエルと共に修道院の児童養護施設育ちな点は同じなものの、原作では海賊王で描かれた通り、エイヴリーの財宝を手掛かりを探す最中離別することとなるが、映画では児童養護施設にいる間にサミュエルは博物館に不法侵入した罪で警察に引き渡されることとなり、逮捕される前に修道院を抜け出すという展開。
これによってネイサンとサミュエルは子供のころに離別する。
彼の身に着けている指輪も、この時サミュエルから渡されるという設定に。
それ以降、絵葉書などで連絡は来るものの、直接会うこともなく、ネイサンのトレジャーハンターとしての活動は映画本編から始まることになる。
これによってネイサンは秀でた身体能力は持っているものの、格闘術や銃の扱いなどは別段慣れていないのも原作との相違点だろう。
また、彼らの両親の設定も変更され、二人がドレイクの子孫というのは両親から聞かされたものとなっている。
原作以上に寂しい子供時代を過ごしたろうネイサンだが、原作で初めてサリバンと会った時の彼と比べると、幾分かお人好しというか素直な人間として描かれている。
再序盤こそ手癖の悪さや素行、サリバンへの態度など、褒められたものではないが、一度信用すると決めた人間への警戒心の薄さは映画内でも度々注意されている。
服装やキャラクター性は後半に行くにつれておなじみのネイト化していき、最終的にいつものネイトの服装に敵から奪ったショルダーホルスターを装備したときにはニヤニヤしてしまった。
また、原作では彼は煙草を吸わないため、火が必要な時はサリバンに借りるのがお約束だが、映画でも非喫煙者なのは変わらないが、サムからもらったライターを常に携帯している。
この設定は個人的に好きで、どう考えても冒険に便利なライターを持ち歩かないのを、サリバンが持ってるから借りればいいという関係になってない状態でも解決できる都合のいい設定だなと。
なおかつ、これが最後まで生きる伏線になっているのがいい。
あと個人的にいいなと思ったのは、ネイサンがバーテンダーとして働いているという所。たしか原作ではそういう設定は出てなかったと思うが、軽口がうまく、知識も豊富、手先が器用でロマンチスト。バーテンダーにもってこいだと思う。解釈一致。


続いてビクターサリバン。
正直この映画はサリバンが主人公なのでは…?
という部分も多々ありました。
原作では恋人であったマーロウの意志に反してまでネイサンを助けるなど最初から意外と人情味にあふれた人物だが、映画では黄金への執着心が強く、協力関係にある人間でも信用しない、噓をついて人を利用することも辞さない人物。
そういう意味では子供のころのネイサンと役割が逆になっている。
サリバンという家族に出会うことで丸くなっていったネイサンにたいし、映画ではネイサンと出会うことで、サリバンが丸くなっていくという感じ。
映画では元軍人という設定も相まって(原作でもそうだった記憶なんだけど、正確な記憶かわからない…)、ネイサンよりずっと格闘術にも長けている。
しかしただのいやな奴という感じもなく、なんとなく許せてしまうのは、僕だけだろうか。
ほぼ最初からお宝探しにワクワクしながらもお人好しな好青年(本当の好青年は人から物スッたりはしないが)なネイサンに対し、映画内で大きく心境に変化が訪れたサリバンに主人公みを感じてしまった。
原作では、ネイサンが敵ヴィランと大立ち回りを演じている間に、サリバンがちゃっかりお宝を手に入れている、という展開もあるが、映画ではネイサンがちゃっかり黄金を持ち出しているなどの役割の入れ替わりも。

最後にクロエフレイザー。
映画では原作においてネイサンの妻となる、エレナフィッシャーは登場しておらず、ヒロイン枠はクロエが務める。
原作ではクロエとネイサンの出会いは描かれていないので、設定に変更があるかはわからないが、映画ではクロエはすでにそれなりにトレジャーハンターとしての経験は積んでいるようで、ネイサンに対しても先輩感がある。明確に描写されていないが、年上と言われても違和感はない。演じてるソフィア・テイラー・アリはネイサン役のトム・ホランドの一つ年上なので実際にその通りの年齢の印象。
銃の扱いなども手慣れており、度胸もネイサンやサリバンも顔負けである。
彼女の明確に設定が変更されている部分は父親。
原作では彼女の父は、彼女と同じように古代の遺産に興味関心を持ち、少なからず彼女に影響を与えている人物だったが、映画では彼女が初めて見つけた宝を売っぱらって、その金をもって蒸発するというクソ親父に。
クロエがトレジャーハンターとして活動するのは、父の影響ではなく、初めて宝を見つけた感覚が忘れられず…という設定に。
個人的には原作のそういうバックボーンやクロエからなんとなく感じられるファザーコンプレックス気味な部分も好きなので、ちょっと残念な改変。
映画ではネイサンとちょっといい感じな雰囲気になる場面もあるが、最後までラブシーン等はなく、今後エレナを登場させてメインヒロインに持ってくるための布石かもしれない。


ちなみに映画ではCパートが存在し、牢屋の中で手紙を書く“S”という人物。
砂漠に眠るアトランティスで描かれた二人の出会いの時の衣装を身に着けたネイサンとサリバンが登場し、会話の中でローマン(エルドラドの秘宝に登場するヴィランの名前)が出てくるなど、
次回作への伏線らしきものがふんだんに描かれていた。
興行成績もいいらしいので、可能性は十分あると思う。楽しみである。

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