カメラアイの人

映像記憶を強くしている人の話しをしようと思う。

僕は20歳の頃からずっと絵や3Dに関わる仕事をしているが、実は物事を映像として記憶しているタイプではない、だが比較的キャリアがあるイラストレーターやコンセプアーティストと話しをしていると、特段覚えようと意識していなくとも一回見たことがあるものなら何も見なくても特徴を余さず描ける人が結構な割合いることを知っている。

以前夜休憩の時に同僚のコンセプトアーティストとドラクエ6のモンスターをスーパーファミコン版のデザインで何も見ず描こうぜ!という突発的な遊びを行ったのだが、敢えて勝敗をつけるなら完敗した。

ホラービーストというアモールの洞窟の奥にいるベギラマを使ってくる中ボスを描いたとき、僕は足の指の数とか角が付いていたかとかが怪しいレベルだったのだが、同僚は考えうるすべてのデザイン要素を身体構造のバランスも含めて再現していた。

20-30年以上前にみた、一回も描いたことがないものでそのレベルなのだ。

同僚はデザイナーでもあるので忠実に再現だけでなく前述した精度で新しいデザインを作ることもできる、カメラアイを持っているから他が出来ないとかではなくカメラアイ+創造的思考+理工学的知識+卓越したプレゼンテーション能力を持っているので正直勝てないと思ってしまった。

だがドラえもんでさえまともに映像記憶してない自分でも記憶の片隅のぼやけた実像をラフにして、資料を確認しながら二回三回厚塗りしていけば一発描きは無理でも徐々に仕事レベルの完成に近づいていくので実際絵仕事に支障が出ることはない、そういう意味ではゲーム業界の門戸はとても広く開いているのだと思える。

ちなみに僕の記憶は何に特化しているかというと何も特化していない、映像記憶ではぼやけている実像を残りの五感の記憶を便りに思い出すのを補助している。

多分これは絵を描いていない人で多い一般的な記憶タイプだと思われる。

なので僕は絵描きだけど絵描きになりたいとずっと思ってて絵の仕事をしながら絵を描きたいと思っている。

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