見出し画像

モールス信号が含まれている音楽

世の中でこれまでにリリースされた楽曲の中には、モールス信号が含まれているケースがある。モールス信号と明らかにわかる形で入っている事もあれば、隠れメッセージ的に楽曲演奏に忍び込ませて入っている事もある。私は以前にアマチュア無線でモールス通信をやっていた経験があり、欧文モールスならば現在も多少は聞き取ることが出来る。今回はモールス信号が含まれている楽曲についてnoteしてみたい。

John Lennon & Yoko Ono - I'm Loosing You~I'm Moving On

まずは私の好きなビートルズ関連のモールス・ネタを幾つか紹介する所からスタートしたい。ジョン・レノン&オノ・ヨーコの1980年のアルバム"Double Fantasy”におけるメドレー "I'm Loosing You~I'm Moving On"のまさに曲をバトンタッチする所で
ー・ーー ーーー ・・ー  ・ー・・ ーーー ・・・ー ・
つまり”You Love”というモールス信号が確認できる。下に2曲のYoutubeを貼っておくが、まさに肝心なモールス信号がなっている途中で曲が別れてしまうので、LP、CDや、ストリーミングサービスで連続的に曲をプレイするよう設定し、I'm Loosing You~I'm Moving Onを続けて再生でご確認いただきたい。なおソースは80年代当時のCQ誌(アマチュア無線専門誌)上で知った。

Paul McCartney -  Through Our Love

ジョン&ヨーコだけでなくポール・マッカートニーもモールス信号を音楽に取り入れている。1983年のPipes of Peaceに収録の"Through Our Love"でその冒頭のストリングスが、
・ーー・ ・ ・ー ー・ー・ ・
と演奏しているのが確認できる。これは間違いなくモールス信号"PEACE"である。そして歌が入っても数回この"PEACE"のモールス・ストリングスがリズムに合った形で演奏される。ナレーション的なものでなく、演奏の一部として有機的にモールス信号を扱った数少ない例であろう。自慢させていただくとこれは私自身が気づいた事で、2021年3月15日現在、ネットを見回してで話題になっているのを確認できていない(この時点でwikiにも記されていない)なので、気づけたことを誇らしく思っている。
 ただこの曲、アルバムPipes of Pieceの2015年のリマスターより前のエディションでは冒頭のPEACEのP、
つまり・ーー・の頭が欠けてー・ Nになってしまっており、30数年にわたりNEACEの状態でリリースされてしまっていた(こちらがそのオリジナルバージョン)。誰かがポール・サイドに指摘し、リマスターにあたり晴れて修正されたとみている。時間がかかったとはいえ修正されたことを喜ばしく思う。(まぁNEACEでも人の苗字と捉えることが出来るが・・)

Paul McCartney - Everybody Out There

ポールは、モールス信号を作品に入れるのが結構好きなようで、2013年のアルバム"NEW"に収録の"Everybody Out There"でもそれが確認できる。こちらは曲のエンディングでナレーション的に入るもので、で"I Live on Mars”という電文が打たれる。非常に速いスピードでプロフェッショナルなモールス通信レベルといえよう。当方はYoutubeの再生スピード調整機能を使って0.75倍程度にして聞き取れた。ソースはwikiなど曲名とmorseのキーワード検索をすると幾つかのサイトで紹介されている。
 モールス信号に関係のない余談だが、このI Live on Marsというフレーズ、David Bowieの”Life On Mars?”とどこか共通した意味があったりするのかも?と思ったが、この曲Life on Mars?、双方の歌詞を見た限りではよくわからない・・・そういえばポールは楽曲"Jet"でSuffragette(婦人参政権)という単語を語呂がいいからという理由で歌詞に入れていたが、それ以前のBowieの曲にも"Suffragette City"というのがあった。

Rush - YYZ

カナダのバンドRushの”YYZ”(1981年のアルバム"Moving Pictures"収録)は、モールス信号がリズムに合わせて"演奏"される事で有名な曲である。冒頭からそれが演奏される。ただ私的に残念に思うのは、この曲、YYZを、
ー・ーーー・ーーーー・・
と文字間隔を空けず連続して演奏してしまっている
のである。これだと「これはYYZというモールス信号だよ」と種明かししない限りリスナーが気づく事はまずないだろう。(その点、先述のマッカートニーのThrough Our Loveは確りしている) YYZを正しく送る場合、
ー・ーー ー・ーー ーー・・
と間隔をあける必要がある。
ただモールス信号を打つときにSOSのような定番コードの幾つかは本来なら
・・・ ーーー ・・・ である所を、
・・・ーーー・・・ 
と文字間隔を空けずに打つことがある。これは法令で規定されており、アマチュア、プロ共々通信技師の間では基本的な事である(文字の上に棒線を付随して表記する)。だが、YYZとはトロント・ピアソン国際空港のコードであり決してメジャーなコードではない。楽曲自体は良いのだが、モールス信号が分かるリスナーに隠れメッセージを見つける楽しみを託しておくという意味では文字を区切って作曲、演奏をしてほしかったと感じる。

Kraftwerk - Radio Activity

クラフトワークは、1975年リリースの”Radio Activity”でモールス信号を大きくフィーチャーしている。曲中でのナレーション的な使われ方であるが、このnoteで紹介している他の楽曲よりも長めの電文が打たれており、雰囲気を出す点で重要な役割を果たしている。内容は、冒頭でタイトルのRADIO ACTIVITYと打たれ、2:06からRADIO ACTIVITY IS IN THE AIR FOR YOU AND MEという電文が流れる。さらに3:48からRADIO ACTIVITY DISCOVERED BY MADAME CURIE RADIO ACTIVITY TUNE IN TO THEと流れ少し間をおいて最後にKRAFTWERKと電文が打たれる。私の解読力の問題もあるが、さほど速くはないものの打ち方にやや訛りがあるのと単語間に空白時間がないので(RADIOACTIVITYDISCOVEREDBYという感じ)ちょっと解読に手間取った。しかしながら苦労して取ったのだが電文の内容は歌詞と同じでもあった・・・。
 なお、この”Radio Activity”が収録されている1975年の同タイトルのアルバムでは、”Radio Land”、 "Transistor"、 "Airwaves"、 "Antenna"、 "Ohm Sweet Ohm"など無線、ラジオ・エレクトロニクス好きを喜ばせるタイトルの楽曲が収録されている。

Ham Nationテーマ

アメリカのアマチュア無線愛好家向けの番組にHAM Nationというのがあり、番組らしくこのテーマ曲はリズムに合わせて
・・・・ ・ー ーー  
・・・・ ・ー ーー
というモールス信号が聞ける。これは"HAM HAM HAM・・"である(HAMとはアマチュア無線の事)。下に紹介する第141回目の番組では0:41からがそのテーマソングが流れる。またモールス話は出てこないが、この回のゲストはジェイムズ・ギャングやイーグルスなどでお馴染みの大御所ロッカー、ジョー・ウォルシュ。ジョーは大変な無線マニアでこの番組にもよく出ているのと、上級ライセンスを持っている(wiki参照)のでモールス通信が出来るはずである。また2004年に来日した時は巣鴨の日本アマチュア無線連盟を表敬訪問したそうだ。番組のこの回ではモーグシンセサイザーをバックにシンセサイザーと無線について無線家たちと和やかなやり取りをしている。やはりアマチュア無線や短波ラジオ好きと、初期のシンセサイザーは通じるものがあると言えよう。ここでのジョーは、ロッカーというより他の出演者同様ラジオ・エレクトロニクス好きのおじさんに見えるのが大変微笑ましい。またジョーは、今やリンゴ・スターの義弟であったりするわけで、楽曲ネタではないがこれもビートルズ・ファミリーにおけるモールス信号ネタとしておきたい。

ワナナバニ園 - Red Banana

私が在籍するバンドワナナバニ園は、"Red Banana"という曲でモールス信号をフィーチャーしている。そのフックでB A K Aという電文
ー・・・ ・- -・- ・-
5/8拍子で畳みかけるように"演奏"する曲である。このモールスを使う楽曲のコンセプトはアマチュア無線で実際にモールス通信をしていた中学生の時から構想していて、西城秀樹の"ヤングマン"におけるY M C Aのようなキャッチーさがあるといいと思っていた。30年前後を経た2014年、激しいドラムとロックなリフの上をリボンコントローラーによるインドネシア・スンダ地方の民謡にインスパイアされたメロディが炸裂するこの曲をワナナバニ園のメンバー全員で共作していた時、そのフックでモールスを入れるアイデアを提案してみた所、結果、文字通りバカらしく熱くプログレッシブな形で長年の構想が実現する形となった。メンバーには大変感謝している。下に紹介する動画はライブで、冒頭での客席からの全く信憑性の無い「モールス信号大ー好き!」という歓声や、終演後の「アホ!アホ!」の罵声も感動的だ。またこのクリップでは、該当箇所で
ー・・・ ・- -・- ・- インジケートされるので注目並び清聴頂くポイントもバッチリ分かるようになっている。

Mike Oldfield - Amarock

マイク・オールドフィールドの1990年のアルバム"Amarock"は、CD時代に挑戦した1曲1時間の大作が収録されており、これ1曲のみの収録である。この長時間演奏曲の48分過ぎ、トライバルなバッキングが続く中、激しい楽音で、
・・ー・ ・・ー ー・ー・ ー・ー
ーーー ・・ー・ ・・ー・
・ー・ ー・・・

つまり、"FUCK OFF RB"というモールス信号が40秒強の時間をかけて"演奏"される。冒頭で書いたようにモールス信号は、音楽中の隠れたメッセージ的に使用される事もあるが、こういうブラックな隠れメッセージを込めるには正にぴったりだろう。またサイン波な音だとすぐにモールス信号と分かるが、この曲のように楽音で発信されてるとモールスとは気づき難く、それも隠れメッセージ性を高めている。なおRBというのはマイクが在籍していたヴァージン・レコードのボス、リチャード・ブランソンの事のようである。ソースはwikiより。マイクは、1973年のデビュー出世作"Tublar Bells"から長年ヴァージン・レコードに在籍しブランソンとも信頼関係があったようだが、このアルバムのあとヴァージンを離れた。

ピンクレディー - SOS

ピンクレディーの76年リリースのヒット曲"SOS"は冒頭にSOSのモールス信号が入っている。しかし当時ラジオで流すにあたり放送とはいえ電波で緊急時の呼び出しコードであるSOS信号を流すのはまずいとの事で、その部分を削って放送していたというエピソードがある(wikiより)。現在もラジオ、つまり電波に乗せる場合はこの部分はカットして放送されるらしい。因みにそのSOSモールスは、
・・・ーーー・・・と文字間隔なしに打たれている。
文字間隔を入れると ・・・ ーーー ・・・ である。が、SOS(ないしOSO)といった定番呼び出しコードの幾つかは、このように間を空けず打たれるのは法令で規定されている事であり、アマチュア、プロ共々通信技師の間では基本的な事である(文字の上に棒線を付随して表記する)。

なお、以下は私の憶測の域をでないが、この数枚後のピンクレディーのシングル曲に"UFO"があるが、この曲の冒頭で"UFO"と歌った後のリズムが、
・・・ーーー・・・ーーー・・・ーーー・・・ーーー・・・
となっており、SOSOSOSOSを連続で打った、と解釈できる。どちらも作曲は都倉俊一氏によるものだが、もしかしたらもしかしたら上述の”SOS”のラジオ放送でのモールス信号カット令の事を意識して、あるいはその記憶から無意識のうちに
・・・ーーー・・・ のリズムを取り入れたのではないかと推測しているのだが、如何だろう?

Inspector Morse Theme

英国のテレビ刑事ドラマ「Inspector Morse(主任警部モールス)」のテーマ曲(Barrington Pheloung作曲)も、そのタイトルに由来してか冒頭から暫くモールス信号が反映された演奏になっているとの情報を捉えた。ただ確認してみた所、"M O R S E"のモールス信号、
ーー ーーー ・ー・ ・・・ ・
のフェイクされた形での演奏であった。例えば2文字目の"O"は、
ーーーでなければならないが、
ここでは・ ・ ・と短点で演奏してしまっており、これではMEEERSEとなってしまう。その後もこれ以外におかしな所が散見されるモールス信号プレイをしており、これを聴いたリスナーが"MORSE"と解読する事は困難であろうと感じた。モールス信号の創始者サミュエル・モールスのドキュメンタリー番組のテーマであればこんなことは無かったろうと思うが、刑事ドラマのテーマとの事であまり正確さは意識されなかったのだろう。そこで試しに矯正したモールス演奏を被せたmp3を作ってみた。

http://torigoya.main.jp/Radio/InspectorMorse_rectified.mp3

私は6/4拍子、2小節の長さで頑なに"M O R S E"を打ち続けており、こうすればメッセージ性の点で大分改善されるのではないかと感じている。なお、このmp3のように矯正モールスを被せた状態だとオリジナル演奏もちゃんしているかように聴こえてしまうのだが、オリジナルは、やはり変である。

この曲にせよRushの"YYZ"にせよ好意的に捉えればモールス信号にインスパイアされたもの、音楽的解釈をしたものといえるし、また当然その取り入れ方も作曲者の自由である。ただ、これから自身の作品にモールス信号を入れようと考えているクリエーター各位には、リスナーに隠れたメッセージを見つけて貰う楽しみを託しておくという意味で、解読に難易度の差はあれど種明かし無しでもわかる正しいモールス信号を挿入、ないし忍ばせておくことを私はお勧めしたいこのようにタイトルがズバリの場合は特にそうあって欲しいと感じる

平野綾、茅原実里、後藤邑子 - 最強パレパレード

2006年リリースで、ラジオ『涼宮ハルヒの憂鬱 SOS団ラジオ支部』の第2期の主題歌(歌は、劇中でメインヒロイン3人を演じている平野綾、茅原実里、後藤邑子による)のこの曲では、冒頭はフェイクなモールス信号だが、曲が始まるとその頭で緊急信号SOS・・・ーーー・・・に対応した音符でシンセサイザーのラインが演奏され、その後も各所でシンセサイザーと歌の両方でこの音符によるラインを確認できる。

Luna Sea - Aurora

Luna Seaの"Aurora"(1994年のアルバムMotherに収録)の2:45あたりにモールス信号が入っているとの情報も寄せられた。確認してみると確かにモールス信号が挿入されている。解読を試みた所、"XDE1QDX"と打っているように聴こえるが、音楽に埋もれている感じではっきりとはわからない。和文モールスか?とも思ったが、やはりよくわからない。一応モールスだが、暗号ないし特に意味のない文字の羅列を打ってみたという感じなのだろうか? Luna Seaファンの方で何らかの情報、手がかりをご存じの方は教えていただけると幸いである。

Caravan - Golf Girl

英国カンタベリーのロックバンドCaravanの1971年の”Golf Girl”(アルバム In the Land of Grey and Pinkに収録)にもモールス信号が出てくる。1:22あたりでボーカルのリチャード・シンクレアがずばり"On the golf course. We talk in Morse"と歌った後に、モールス信号が"O S T E R S"と打たれる。正しいモールス信号だが、恐らく特に意味はなさそうである。

Klaatu - Sub Rosa Subway

カナダのロックバンドKlaatuの1976年の楽曲"Sub Rosa Subway"では、2:50からモールス信号での長めの電文を聴くことが出来る。ただ、バンドの演奏に埋もれているのと速い速度で打たれており、私の技量ではそのままでは中々解読が困難と判断し、音源にモールス信号の音程と同じ920Hzのバンドパスフィルターを掛けてモールスを抽出してみた。これがそのmp3である。
http://torigoya.main.jp/Radio/SubRasaSubwayBPFed.mp3
そして解読を試みたところ、
BT(の連続打ち) fromalfredheenethysharpenedearamessagewedobringst
とまでは取れて、そこから先は何らかの電文が打たれているが演奏に埋もれ聞き取り不能となった。因みに冒頭のBT(の連続打ち)とは通信用語に於ける文章の区切りの事と思われる。この電文を英語と捉え単語と思わしき部分で区切ると
from alfred heenethy sharpened eara message we do bring st
でないかと思われた。その後が取れないこともあり結局降参したが、この曲のwikiを参照するとメンバーが明かした答えが書いてあり、
"From Alfred heed thy sharpened ear  A message we do bring  Starship appears upon our sphere  Through London's sky come spring" との事である。隠しメッセージ性を高める意味合いがあるかもだが、このように単語間隔がないままで打たれるとかなり捉えにくくなる感があるのと(先に紹介したKraftwerkの"Radio Activity"もそうだった)、後半のモールス信号のミックスをもうちょっと大きくして欲しかった。

岡本真夜 - Help Me

岡本真夜Help Me(1999年のアルバムHelloに収録)では、曲の要所でアクセント的に・ー ー・・という電子音のフレーズが挿入しており、これはADを意味する。その音色も相まってリスナーに注意を引かせる入れ方がされている。情報を頂いたmasa shさんは、主人公はADさんなのだろうか?との推測をされている。
また0:20~の"頭の中もパンク寸前~"という歌詞のすぐ後から刻まれるリズムは、
・・ー ー ・ー ・ー ・ー
ー・ー ・ー ー・ー ・ー
・・ー ・ー ー・ー ・ー
ー・ー ・ー ー・・・ ー

で、UTAAA KAKA UAKA KABTのモールス信号と取る事ができるが、私が頑張ってそう捉えただけだろう。

Laughin’Nose - SOS

日本のパンクバンドLaughin'Noseにも"SOS"という楽曲があり、冒頭でモールス信号が打たれており、
・・・・ ーーーー ・ーという信号が聴ける。またその後もリズムに合わせてそのモールス信号が演奏される。解読を試みると、欧文だとH、真ん中は該当モールスなし、Aとなる。恐らくピンクレディーの"SOS"の放送カットの件もあったので、
SOSの・・・ーーー・・・を敢えてフェイクしたのだろうと推察した。しかし、このモールスを和文としてとらえると、"ヌコイ"になる。というわけで意味はよくわからないが、その形容詞的な感じが気に入ったので(歌詞から推察すると型に嵌められた不自由な状況を危惧する形容詞と捉えるのが妥当か)、フェイク・モールスから昇格させて、一つの項目として紹介させて頂くことにした。下のYoutubeの12:09からご覧頂きたい。

吹奏楽作品 "ビスマス・サイケデリア I" - 作曲・日景貴文

作曲家・日景貴文による吹奏楽作品 "ビスマス・サイケデリア I"にモールス信号が入っているとの情報も頂いた。4分半ほどの現代音楽作品で、確認してみると、曲が始まって20秒を過ぎた所(下の映像では0:41から)で、MINERA5というモールス信号が3回"演奏"されているのを確認できる。作曲者はMINERALを意図したとの情報もあるが、私はyoutubeやspotify等、ネット上にある4通りの演奏を聴いてみたが、その限りでは何れもMINERA5であった。モールス的には間違っていない。ここは、5に何等かの意味がある事を想像しつつ聴くのが正解かと感じていたところ、youtubeやspotifyにある曲タイトルに付随して2019年度全日本吹奏楽コンクール 課題曲Ⅴとあり関連性を察したところだ。
と書いたところで、作曲者の日景様から直接お返事を頂いた。

"このモールスのリズムは2拍にわたる5連符によって提示されるのですが、「L」のリズムですと必要以上にソルフェージュを困難なものにさせてしまうことから、リズムを崩すという判断に至りました。ですので、「5」というのは実のところフェイク(!)なのですが、これが課題曲「V」と連想し得るのも偶然とはいえ面白い事実ですね。"

私的には、やはりこれは音楽的必然が偶然を必然にしたものでないかと捉えている。

フェイク・モールスな楽曲

以下は、モールス信号のようなものが入っている楽曲をメモしておきたい。
Pink Floydのデビュー作Piper at the Gate of Dawnに収録の"Astronomy Domine"の冒頭でそれらしきものが聴けるが、これは明らかにモールス信号ではない。またThe Clashの"London Calling"(同名アルバムに収録)のエンディングにもモールスらしきものが聞こえ、"K S K U"と解釈できなくもないが、ヘタクソなこともあり、おそらく特に意味のないフェイク・モールスでないかと思われる。またThomas Dolbyの1982年作"Windpower"(アルバムThe Golden Age of Wireless収録)も感じは出ているが、これは明らかにでたらめである。

Spotify Playlist

これまで紹介した楽曲のSpotify Playlistを作成した。合わせてご活用いただければ幸いである。

謝礼

本稿リリース間もなくの2021年3月20日にtwitterで本稿を告知した所、多くの方からリアクションを頂きました。またモールス信号が入っている曲の情報も幾つか頂き、確認の上、有益と感じた情報を本稿に追記させて頂きました。おかげさまで音楽ジャンル的にも幅広く扱うことが出来たと感じております。
Caravanの"Golf Girl"の情報を頂いたTakuo Watanabe
Klattuの"Sub Rosa Subway"の情報を頂いたまるめ
岡本真夜の"Help Me"の情報を頂いたmasa sh
"最強パレパレード"の情報を頂いたLiliumPair
Laughin'Noseの"SOS"の情報を頂いたクリテツ様。
"ビスマス・サイケデリア I"の情報を頂いた脇田健一様、そしてその作曲者の日景貴文様。
そしてフェイクモールスでしたが
Thomas Dolbyの"Windpowder"の情報を頂いたo-ken様。
この場を借りて、御礼申し上げます。

参考

モールス信号一覧



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?