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英語5文型の基礎

英語の文は、文の構造(文型)から5種類のグループに分かれます。これを5文型といいます。

高校生になると、英語の授業時間に何度も文型という言葉が出てきます。ところが、最近、中学校で文型を習うことはほとんどありません。それが、高校生になって急に英語が苦手になる原因の一つにもなってしまっています。
また、中学英語をマスターするに際しても、文型を知っていることは非常に役立ちます。

5文型に入る前に、まず準備運動から。

★英語の文を構成する要素

英語文を構成する要素はたった4つしかありません。
主語(英語でSubjectなので記号のSで表わします)、動詞(VerbなのでV)、目的語(ObjectでO)、補語(ComplementなのでC)の4つです。

英文
I like him.
という文で考えてみましょう。
Iが主語(S)です。英語でも、主語は、「~が」「~は」にあたる部分で、肯定文(疑問文でも否定文でもない文)では文の先頭に置かれます。
主語の後のlikeが動詞(V)です。通常の英文の肯定文は、主語+動詞+~の形になります。

himが目的語(O)と言われるものです。動詞と前置詞の目的になるから目的語と名づけられたのですが、ちょっとわかりにくい。
「~を」「~に」にあたるものが目的語だと覚えてください。「を」と「に」が目的語の目印です。

さらにわかりにくいのが補語(C)です。
I am a boy.
の英文では、I(私)=a boy(少年)です。このように、主語や目的語とイコールの関係になる語を補語といいます。主語をさらに説明する、主語の意味を補うということで補語と名づけられたのかもしれません。
要するに、イコールの関係で結ばれるもの同士で、後にある語が補語と覚えてください。

文型を考えるとき、以上4つの、主語、動詞、目的語、補語だけが文の構成要素であって、それ以外は無視します。
例えば、
I play tennis in the park.
だと、Iは主語、playは動詞、tennisは「テニスを」だから目的語です。in the parkは、場所を表わす副詞句、修飾語で、主語でも動詞でも目的語でも補語でもありませんから、文型には関係してきません。
文型に関係しない副詞句(修飾部)の見つけ方ですが、前置詞(in,on,at…)で始まる句(単語の集まり)は副詞句です。

★英語の5文型とは

第1文型…S+V
第2文型…S+V+C
第3文型…S+V+O
第4文型…S+V+O+O
第5文型…S+V+O+C

の、5種類です。

最初は非常にわかりにくいので、さらに詳しく説明します。

★基本的な3つの文型

中学校範囲だと、ほとんどの英文が第1文型、第2文型、第3文型のどれかであって、第4文型、第5文型に含まれるものは、(重要ですが)例外です。そこで、まず、3つの文型を考察します。

第1文型(S+V)

文の構成要素が、主語と動詞だけの英文です。S+Vの文型です。
I cry.(私は泣く。)
普通は
He runs in the park.
のように、副詞句(in the park)が付くことが多い。
The book is on the desk.
のように、is(be動詞)が「いる」、「ある」という意味のときは第1文型になります。

第2文型(S+V+C)

I am a student.
I(主語)=a student(補語)という関係が成り立っています。S+V+Cの文型です。
He became a teacher.
も同様。He=a teacherで第2文型です。
She got angry.
You look happy.
この2文は、She=angry(怒っている)、You=happy(幸せそうに)で、angry,happyという形容詞が補語になっている場合です。

第2文型を作る動詞は限られています。その限られた動詞を覚えておくと、第2文型だとわかります。
中学校で習う範囲だと、be動詞(~です)、become(~になる)、get(~になる)、look(見える)くらいしかありません。

第3文型(S+V+O)

圧倒的に数が多く、ほとんどの英文が第3文型です。
I have a book.
We cleaned the room.
など。

中学生に、「haveの意味は?」と聞くと、ほとんどの子は「持つ」と答えますが、正確ではありません。辞書で調べてみてください。haveの意味は、「~を持つ」と書いてあるはずです。
ほとんどの動詞は、すぐ後に目的語が必ずくっついてきます。だから「~を持つ」とか、「~を掃除する」とか辞書には書いてあるのです。

このような動詞を、目的語という「他のもの」を必要とするので、『他動詞』といいます。多くの動詞が他動詞であり、そうでない動詞(自分だけで英文を作れるので『自動詞』と呼ばれ、第1文型・第2文型をつくる)のほうが例外です。

★特別な文型

第4文型(S+V+O+O)

give(与える)、show(見せる)、tell(話す、教える)、teach(教える)などの動詞は特殊な動詞です。
I gave her a doll.
のように、「私は彼女に人形をあげた」と、動詞の後に「~に」と「~を」の2つの目的語が置かれます。このグループの英文が、S+V+O+Oの第4文型です。
道を尋ねるときの、
Would you tell me the way to the station?
も、me(私に)+the way(道を)の語順になっているので第4文型です。

第4文型をつくる動詞は限られていて、中学範囲では上のgive,show,tell,teachの4つくらいです。それに、buy(「買う」ではなくて「買ってあげる」の意味のときだけ)とmake(「作る」ではなくて「作ってあげる」という意味のときだけ)の、計6個を覚えておきましょう。

2つの目的語は必ず前に「~に」がきて、後が「~を」になります。この順番を逆にすると間違いです。

ただし、どうしても「~を」を前に、「~に」を後にしたいときは、以下のように前置詞を用いて書くことができます。
I gave a doll to her.
この書換えは、高校入試でもよく出題されます。

さらに、難しい高校では、toではなくてforを使わないといけない書換えが出題されます。それがbuyとmakeのときです。
I bought her a doll.(私は彼女に人形を買ってあげた。)
この第4文型の英文を、「~を」を前に、「~に」を後にしたいときは、
I bought a doll for her.
となります。

書き換えたほうの文は、第3文型の英文です(toやforなどの前置詞がつくと、もう副詞句であり、目的語ではないから)。

第5文型(S+V+O+C)

この文型をつくる動詞はさらに限られてきます。中学範囲ではcall(呼ぶ)とname(名づける)とmake(「作る」ではなくて「~にする」の意味のときだけ)くらいしかありません。
I call the dog Pochi.(私はその犬をポチと呼ぶ。)
I named the dog Pochi.(私はその犬をポチと名づけた。)
The news made me happy.(その知らせは私を幸せにした。)
the dog=Pochi、Pochiは目的語とイコールの関係になる補語です
me=happy、私=happyなわけで、happyも目的語のmeとイコールの関係で結ばれる補語です。

この文型をつくる動詞は少ないし、問題として出題される英文も限られているので、それを覚えてしまえば難しくありません。

★動詞に注目

以上、5文型について、中学生にもわかるようにまとめてみました。
第2文型、第4文型、第5文型の例文はしばしば入試でも出題されます。
重要なのは動詞です。

第2文型…be動詞、become、get、look
第4文型…give、show、tell、teach、(+) buy、make
第5文型…call、name、make

動詞が目印、動詞で文型がわかります。

中学生の間に5文型が理解できていたら、高校生になって本当に楽なんですよ。頑張って、覚えてください。

俊英塾代表。「塾学(じゅくがく)」「学道(がくどう)」の追究がライフワーク。隔月刊誌『塾ジャーナル』に「永遠に未完の塾学」を執筆中。関西私塾教育連盟理事長。