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映画『かがみの孤城』アキについて【ネタバレあり】


 こんにちは。

 私はかがみの孤城という作品が好きです。触れているのは原作とアニメ映画版だけですが、たくさん好きなポイント、語りたいことがあります。

 その中から今回は私が特に好きな登場人物、アキについて語りたいと思います。この記事のタイトルには映画とついていますが原作の記憶と混ざっている可能性があるので、正確には映画+原作の感想になります。私はこのような一人のキャラクターにフィーチャーした記事を書くのは初めてなので、上手く書けないかもしれません。また、この記事にはかがみの孤城の重大なネタバレを含みます。ご了承下さい。

 アキは見た目は少し不良っぽく、コミュニケーションも比較的上手そうな印象があります。なので最初は彼女が孤城に来ていることに違和感がありました。反抗期的にそういう態度をとっているだけだと私は誤解していたのです。しかし、物語が進むにつれアキがそういった棘を持っているのは時代性だけが理由ではなく、自分自身を守るためのものだったことが分かります。

 原作でも映画版でも描写されていますが、アキは現在進行系の深刻な問題を抱えています。それは、彼女が受けている性的な虐待です。私は先に原作を読んだのですが、この設定が映画版でカットされないといいなと思いました。扇情的な描かれ方をするのも勿論嫌ですが、こういった問題で悩んでいる人たち、家族に頼ることができない立場にいる人たちのことをいないことにしてほしくないと思ったからです。そのシーンを見たくないと思う人も多いでしょうし、無理して見る必要は全くないと思いますが、そういう状態の家庭は確かに現実に存在するからです。

 結果、映画版でも彼女の苦しみは描かれていました。私はその描写自体に苦しくなると同時に、なかったことにしないでくれてありがとうと思いました。

 ここから先は、私の個人的な意見になります。賛否が分かれることを書きます。

 アキは物語のクライマックスに消えようとします。それが現実世界ではなく孤城の中でだったということに、少しだけほっとしました。孤城のメンバーたちに気づいてほしいという気持ちがどこかにあってわざわざ孤城に来たのだと思うからです。そもそも孤城のメンバーたちが同じ学校に通っていることが分かったのも、アキが助けを求めることができたからです。

 そのうえで、これは私が間違っているのですが、私が思ったことはアキが消えようとしたときこころがアキに生きて、と言ったことはすごく残酷なんじゃないかと思うということです。

 物語の伏線的にも、作品のメッセージ的にも、アキが将来幸せになれるということが確定していることや他人を巻きこんで死のうとしていることや倫理観やその他色々を考えてみても、少なくとも私があの場にいたらアキに生きてとは言わないかなと思います。別に死ねと言いたいわけではなくて、生きていてほしいんだけど、家族に頼れる立場である(こういう不幸比べは良くないのですが)こころがそれを言うのは、それもただ生きてとだけ言うのは無責任だと思いました。こころがそれを自覚しているかは分かりませんが。

 支援者でもない中学生のこころがそこまで考えなくてはいけない理由はどこにもないし、こころは正しいのですがどうしてもモヤモヤしてしまいました。

 じゃあお前だったらアキになんて言うんだよと言われそうですが、一応考えてみました。ただ、私は私で無責任というか、そもそも正解が存在しない以上すごく難しかったのですが、アキに生きてほしいという気持ちをベースに言うなら、「大抵の場合親は自分より先に死ぬから大丈夫だよ」というどう頑張っても無責任な言葉になってしまいました。

 そうでないなら、「私は自殺って必ずしも悪いわけじゃないと思う」と言ってアキが死にたいと思うことはアキが弱いからでも悪いからでもない、その状況になっていたらむしろ自然だよということを伝えたいのですが、多分この言葉では伝わらないでしょう。

 ……というようなことを考えて脱線してしまいましたが、今回のnoteはここまでです。結論がだせなくて逃げたと思われても文句はいいません。だいぶ私の主観が入ってしまってすみません。一人のキャラクターについて深く考える今回のようなnoteもこれからたまに書いていきたいです。ここまで読んでくださってありがとうございました。


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