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セールスデザイン歴10年超のアタマを覗く部屋#1

こんにちは。トリイヲシコと申します。(株)ギャプライズという会社で、現在はデザインディレクターという肩書きで仕事をしています。

ちょこっと自己紹介を先にさせていただくと、この会社に入る以前は、ジュエリーの商品企画・デザインとか、パソコンや家電の広告やカタログなどのグラフックデザインやDTPデザインの仕事をしていました。
今はランディングページのデザインやサイトの改善運用などに10年以上携わっています。

今回noteを書くきっかけとなったのは、
長らくデザインという仕事をやっている手前、「今さら当たり前過ぎて表立って口に出すことでもない、と思っているような事も、外側から見ると意外と新鮮な視点だったりして役に立ったりするもんだ。」

という同僚の言葉を聞いて、
それならちょっと書いてみようかと思った次第です。

そんな訳で、今現在も関わっているセールスデザインを主に、普段どんな事を考えながらデザイン業務に取り組んでいるか、などを経験から踏まえた俺流にはなりますが、
ゆるゆると呟いていこうかと思います。

ご興味あればふらっと一杯飲んで・・ではなく、読んで頂ければちょっと嬉しいです。

セールスデザインって何?

さてさて、まずは。
「せーるすでざいん」って聞いたことありますか?

最近はだいぶ浸透してきた言葉ですが、職種として「セールスデザイナー」みたいに立ててる所はあまり見かけないようですし、ピンと来ない人も多いのではないでしょうか。

で、セールスデザインとは。ざっくり言うと、

「モノやサービスを売ることに焦点を合わせたデザイン」
「ターゲットを、企画側が意図するゴールまで導くデザイン」

といった感じでとらえてもらえると良いかなと思います。

と言われても、急にターゲットとか言われてもよくわからんのじゃが・・という方。そうですね・・例えば、日常のシチュエーションに落とし込んでみましょう。

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と、こんな経験はありませんか?
セールスデザインとは、この③以降の部分を

「ほほーなるほど、いいじゃん。ちょっと買ってみようかの」

と、あなたの心をがっちり掴んで財布の紐を解かせる、そんなデザインの仕事です。

ちなみにWEBに限らず、
スーパーのチラシとかもゴールはターゲットを来店させて商品を購入させることが目的ですので、
これもセールスデザインと言えるかと思います。

「デザイン」と「セールスデザイン」、何が違う?

でも、セールスデザインって他の「デザイン」と何が違うんでしょうか?

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世の中にはWEBやプロダクト、ファッションや広告など様々なジャンルの「デザイン」があります。
私は幾つかの業界でデザイナーとして働いたあと、今このセールスデザインに関わっていますが、

「デザイナーがデザインと向き合う時の視点」がかなり独特だなと感じています。

セールスデザインは、“「商品(サービス)を売る・成果を出す」ことをゴールとするデザイン” です。

でも、別に他のデザインだって売るのが目的でデザインしてるでしょ?と思う方もいるかもしれません。
が、その「売れる・成果出す」への執念・・いやコミット具合が他とは違うところかなと。

「売れる=ターゲットに購入(意図する行動)してもらう」まで持っていくためにはどうデザインすればよいか?

デザイナーは常にこの視点を念頭に置いてデザインを考えています。

例えば、普段クライアントさんとやり取りをしていると、クライアントさんは商品やサービスへの想いが強く、

「あれもこれもこうしたい、この商品の強みはこれだから~・・、」という要望が泉のように溢れて出てきます。

もちろんそれは当然なことなので、その想いはMTGの際にきちんと心では受け止めるのですが 、

それを全て汲み取って言われるがままデザインとして形にしてしまうと、
「クライアント視点の塊」
となり、

買ってもらいたいターゲットに「その情報の伝え方は本当に響くのか?」
という疑問が残る事も多くあるのです。

クライアントさん側の視点に踊らされることなく、なおかつ、
デザイナー自身の主観も一旦放棄して「ターゲット視点を常に意識してターゲットに購入(意図する行動)してもらう」デザインを考える

というのが他にはない特殊な点かなと思います。

自分の主観もターゲット視点の邪魔になる

ちなみに、この「自分の主観も一旦放棄」という点が、自分自身が当初難しかったところでもあります。

例えば、この仕事をやっていると、
ターゲットにフックするからという理由で、

「素人が作りました感を意図的に全面に出した、微妙な怪しさや胡散臭さをかもす情報商材系のランディングページをデザインする」とか

「今なら0円!!!超絶お得!今すぐお申し込みを!」みたいな煽り文言のビジュアルを、

「スタイリッシュなデザインテイストで、なおかつゴリッとインパクトも欲しいの♪」
と禅問答の如きリクエストを形にするとかが日常茶飯事的に発生します。

経験上そのような時、自分の中にある「こうあるべき」的なデザインの固定概念に縛られ過ぎると、

中途半端に折り合いをつけたような、ビミョーな物ができあがってしまう=結果、成果がでない事が多い
のです。

10数年前に今の会社に入社した当初、
それまでスタイリッシュ路線一辺倒のデザイン畑にいた自分は、特売チラシのような

「数字が馬鹿デカく強調されて文字の大小がやたら激しいプッシュ感満載」
のデザインの習得に非常に難儀していたのですが、今思えば、

原因は「自分の中に今まで貯めてきたデザインのセオリーに縛られていた」こと
でした。

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それぞれの案件で、それぞれのターゲット向けに振り切ったデザインにするためには、一旦、自分の中にある手持ちのカード(主観やセオリー)は引き出しにしまっておいて、

視点をリセットし、ニュートラルで新鮮な心持ちで案件と向かい合う
、のがポイント。

そして、ターゲットを自分の中に召喚・妄想を膨らまして・・・
「思わず買いたくなる、なおかつ、できれば超絶お得でスタイリッシュでゴリッとインパクトなデザインとは・・これいかに・・」などと考えて、

ある程度形が見えてきた後に、己の引き出しを開けて手持ちのカードから
「ここにはコレとコレが使えるな」と肉付け
して

「こ~れ~で、どや!!オラオラ」と、やってるわけです。
オラつきはしませんが。

そして、セールスデザインはデザインして納品したから終わり、ではありません。むしろ公開した後が、いよいよ本番

そのデザインで成果が出たか否かでデザインの「良し悪し」が決まります
これが醍醐味ともいえるのですが、結果がでないと・・。
その辺は追々書ければと思います。

では、また次回に。
お付き合いありがとうございました。

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