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言えるのは「賛同できない」ということだけなのかもしれない

昨年末から時間を見つけては読み進めている十二国記

もっと時間を費やしたいと思いつつ
生活最低限の家事もある所用で出かけることもある
それに一気に読み進めれば早々に読み終わってしまうという恐怖
そのへんは上手い事なってんのかもしれん
ちびちび読み進めついに
あと一歩で最新作というところまで来た
案ずるなかれ、最新作は4巻もあるぞ!よかったな私!ほほーい

やはり基本的には長編が楽しいなと思う
国を変え視点を変え様々な物語が1冊丸々
もしくは上下巻で綴られるわけやけども
途中挟まる「一方その頃…」という短編集
丕緒の鳥華胥の幽夢

丕緒の鳥も面白いなとは思った
ここまで主人公たる視点が王や麒麟、その周囲の人間やったのに対し
国に生きる民にフォーカスして
違う観点から捉える、国とは王とは命とは
この短編集にたどり着くまでに培った各国の情勢や世界観
ベースが出来上がる頃やから楽しめる物語やと思う

まぁでも個人的な好みで言えば
その後に進む図南の翼の面白さには到底かなわん
元はジャンルで言えばライトノベルなんやろうけど
大人になってから読む意義を感じたし
もちろんこれを学生の間に読んで胸打たれるのも素晴らしい
恭国といえば風の万里 黎明の空で無意識に予習はできてる
容姿が女児の供王・珠晶
なぜあの時、公主に対してああいう対処やったんか
そこも併せてなるほどなぁと納得できる
序盤では生意気で世間知らずの小娘め!と舐めてかかった読者も
終盤ともなればその王気を感じて叩頭平服してしまう
ま私、麒麟じゃないんですけども

そして続く短編集

華胥の幽夢(ゆめ)

丕緒の鳥という短編集を経たので
ああ、短編かぁ…読むけど…ちょっとダレた気持ちで読み始めたら
こっちのほうが断然に面白かった

無学なもので華胥(かしょ)という単語の意味も
華胥の夢という故事成語も知らず
恥ずかしい!教えてくれてありがとうGoogle先生!

華胥(かしょ)は中国に伝わる伝説上の国。華胥国、華胥氏とも書かれる。西北の果ての地にあるとされ、全てが自然のままで為政者は無く、人々に欲望も無く、とても長寿であるという。三皇五帝のひとりとして中国神話で語られる伏羲の母は、この華胥の人であったとされている。黄帝が夢の中でこの国をおとずれ、その様子に感じ入り、自らの政治の規範としたといい、この伝説は「華胥の夢」という故事成語になっている。

と、いうことらしいです
wikipedia引用

華胥華朶(かしょかだ)という宝具がある
その名の通り使用すれば美しい理想の国が夢に見られるという
それをめぐるミステリーとも言える物語
余談ですがミステリー性を求めるあまり
終盤まで私は青喜が黒幕なのではと疑っておりました
違った(そらそうよ)

今、現状の自分にグッサリ刺さる言葉
責難は成事にあらず
本当にその通りやと思う
誰かを何かを責める事は、何かを成すことではない
それは間違っていると声を荒げ批判する事は
何かを成した事にはならない
違うよ、こっちが正しいよと導いて初めて
「成事」となる

王(砥尚)の親族である慎思は
前王への不信を胸に活動する砥尚へ言う
「それは違う、と言うことは容易いけれど、
では何をすれば違わないのか、それを言ってあげることができない」

だから加担できない

息子同然の砥尚が(簡単に言えば)反政府の徒党を組んで
前王の体制を批判し活動することに関して
そして新王として登極してからもひたすら「前王のようでない」事
それに囚われ反目を行くことだけをしてきた
果たしてそれが何かを成した事になるのだろうか

何かを不満に思い非難する
それだけで何かを成した気になる
これはファンタジーの世界だけでなく現代日本であれどこであれ
誰もがやってしまいがちな根本的間違いではないのか

それは違うと思う、けれど差し出せる正解が無い
だから非難もしないが加担もできない

慎思様、めっちゃ正論
わかる
ずっとモヤモヤしている私の言いたかったことも
まさしくそれやもん

だからどうすればいいとか
こうしたら事態が良くなるとか
そういうのは各々考えるべきことなんでしょうな

私もしっかり考えようと思う

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