未知の生物
この世にこんなにも理解の及ばない生物が居るのか
子供を産み育て痛感している
言葉を話せない赤子の時期などは
本当に精神が錯乱するのでは…?と
毎日絶望していたし
幼稚園へ上がれば何故か制服の下に
パンツを履かず帰ってきたり
パンツの右足穴に両足つっこんで履いてたり
パンツ2枚履いてたり(知らんパンツやけど誰のんなん)
ポケットが小石でパンパン当たり前
部屋の壁はクレヨンとシールで埋め尽くされる
その全ての行動原理が
「だってやりたかったから」
お前…それお前やりたかったからてお前…おおん…
命に危険さえなければ、他人に迷惑をかけていなければ
叱る切り口さえ見つからず一瞬全部が停止する
小さい頃、外でお友達とオヤツを食べている時
ポロっと地面に落としたひとかけら
アカン!もうばっちいから食べたらアカンよ!
私が拾い上げるより先に
可愛い顔でウン!と頷き
光の速さで口に運んだ
私の目をしっかり見据えて
その瞬間に何が言えるやろうか
大事に大事に手洗いうがい除菌シート!
病気しては大変!菌があったら大変!
あらゆることにピリピリ神経尖らせる母に
「大丈夫!死ねへん死ねへん!」を体現してみせたのか
ちゃうわ、ただお菓子食べたかっただけやわ
そういうことを重ねながらどんどん大雑把になってゆく
肩の力が抜けてゆく
気にしてたら、こっちが死ぬ
もちろん子供というのは
マジ一瞬目離したらあっという間に居なくなるし
突拍子もない動きするし病気するし
産まれた瞬間から死なないようにすること
1秒も怠れない
それはそう、それは当然そうやねん
でも必死になって視野が狭まった大人に
違う視点を教えてくれるんも子供やんなって
万福児という漫画がある
この福志という男児が
ま~~~~えらいことしよる
毎日毎日「だってやりたかったもん」を原動力に
それだけを軸に生きている
逆に安心するわ
父・万典さんは神経質な面を持ち合わせた常識人
母・文子さんは福志の存在を面白がるおおらかな人
二人は方法は違えど福志を溺愛している
私は母親として文子さんを見習いたい
でも万典さんの気持ちもわかる
子供は未知の生物
自分にとって明らかに未知
ここまで生きてきて培った知識や常識を
秒で覆す存在
小学校から理科の実験キットを持ち帰り
その日風呂場から聞こえる絶叫
おかーーさん!おかーさん来て!ちょ!来て!!!
何事かとバタバタ向かえば
鼻の穴(右)に注射器てきなやつをつっこみ水を噴射
鼻の穴(左)からジャバジャバ出してました
苦しそうにムセながら
…は???
意味なんて無い
ただやりたかっただけ
右鼻から左鼻に水を通したかっただけ
ゲホゲホゆうて苦しみながら
どう!?て顔されても
言えることなんかひとつも無いんですよ
心の中に万典さんと文子さんが共存するので
ゲラゲラ笑い転げつつ
はよ体洗わんかい!!!ゆうて
風呂の扉を閉めました